« 食を通した連帯(2) | トップページ | 外国人生活相談入門書 »

2017年4月29日 (土)

2017年4月のマイブーム

 今月の主なトピックは、NHK100分de名著 『人生論ノート』 (三木清) との出会いだった。

--

 哲学書 『人生論ノート』はかなり難解だったが、岸見一郎氏のわかり易い解説があることで、番組は極めて興味深かった。
 戦前~戦中 (昭和13~16年) の翼賛体制を背景としているだけに、自由にものが言えない時代の自由とは、そこから発して人間としての生き方とは、を考えることができた。
それらはいつの時代にも通じるものと感じた。

第1回「真の幸福とは何か」(4月3日)
 幸福は成功だろうか?
 成功は成したことが社会に認められ、出世したりすることだが、だから幸せとは言えない。
 成功と幸福を同一視するようになって以来、人間は真の幸福がなんであるかを理解しえなくなった。
 成功主義は社会に迎合しがちだが、幸福はもっと個性的・オリジナルなもの。
 成功が量的に考えうるのに対して、幸福は質的人格的なものである。
つまり自分自身を貫けることだ。

第2回 「自分を苦しめるもの」 (4月10日)
 人間の心をざわつかせるものが幾多ある。
虚栄心、憎しみ、嫉妬、偽善心などである。
 虚栄心は人間的なものだが、守るべき名誉心とは異なる。
名誉心は虚栄心が世間からどう見られているかなのに対して、内なる自分の品位がどうありたいかだ。
 人は憎しみや嫉妬から自由であるべき。
神は怒っても憎むことはしない。憎しみに転化しない怒りはいわば 「正義」 の別名でありうるが、ヘイトスピーチのような憎しみ表現は愛の欠如した反知性的な所作である。
 また、「道徳の社会性」 というが如きことに異を唱えることをしない自己保身の人は偽善者だ。
 「道徳の社会性」 となる強制とは、当時の思想統制~軍国主義につながった教育勅語を絶対としていたことに他ならない。

第3回 「孤独や虚無と向き合う」 (4月17日)
 一人ひとりの人間は虚無の大海の中の1点でしかない。しかし、どんな小さな泡抹も海と区別される存在である。
 生命は形のない泡沫状態から自らの形をなすことで、自分の存在を創りだす。
人生は形成である。これが、人間の最大の課題だ。
 さて、虚無と対をなすのは秩序である。秩序こそが生命の原理である。
根源には、人間という存在の尊厳を認める絶対的な前提/価値体系が必要だ。
  その秩序が、差別と分断しかない秩序なら、これに迎合しない孤独 (嫌われる勇気) は避けるべきものではない。

第4回「死を見つめて生きる」(4月24日)
 死は別次元のものだが、死の立場から見ることで、初めて人生全体を把握できるようになる。
 形成する人生は常に道半ばだ。しかし、いつどこで人生を終えたとしても、生きた過程での喜びや充実はすでに完成している。

--


 人生は、いたずらに世の風潮に流されることなく、オリジナルな自分自身を大切にして、オンリーワンの自己形成をしていくもの。
 そうした人生を、三木清のように獄中に捕えられるのでなく、自由に貫けること。これこそが幸福論の真髄だ。
 私たちにはその自由がある、一人ひとりの尊厳を生かす社会秩序を守り、常に道半ばながらも今現在の喜び/充実を築いていく存在である。

« 食を通した連帯(2) | トップページ | 外国人生活相談入門書 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/559271/65211385

この記事へのトラックバック一覧です: 2017年4月のマイブーム:

« 食を通した連帯(2) | トップページ | 外国人生活相談入門書 »