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2017年2月28日 (火)

食を通した連帯(2)

 「食とエネルギーの地産地消」 の具体化で、『だから、僕は農家をスターにする』 (高橋博之) はひとつのモデルを示している。この実践は、エネルギーには及んでいないし、食を通したつながりの面でも懐疑的になろうとすれば突っ込みどころは幾つもあるように思えるのだが、各地の農漁業に携わる人びとを掘り起こし、生産者と消費者が支え合うことへの熱いまなざしには共感させられた。

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 まず、「世なおしは食なおし」 という言葉がすべてを物語るだろう。

 食べ物を産地から宅配するしくみを通して生産者と消費者がつながるという試みなら、現在幾らでも存在する。
 そうではなくて、この書が 「食べる通信」 というメディアを通してなすサービスは、食べものの裏側にある世界や生産者の思いを食べものと一緒に送ることである。リアリティを伴って一層深い絆を生み出そうとしている。

 ここには、おカネを通してやりとりする食べものと違うあり方を生み出そうとする哲学がある。工業化により経済成長してきたことで失われてきた生産者と消費者のつながり、人と自然のつながりの ”豊かさ” を認識する方向にもつながる。

 「食べる通信」 の大きな特徴は食べ終わったあとに始まる交流である。食べものが届いたら、味わって 「おいしかった」 で終わるのでなく、その食べものに内包されたある価値が伝わる。そして、その価値で結びついたコミュニティが形成され、連帯感が育まれていく。

 こうした試みは CSA (Community Supported Agriculture : 地域支援型農業) として知られる形態の一環である。欧米で普及しているが、もともとは日本の1960年代からの生活クラブなどの産直提携が起源とされる。「食べる通信」 は CSA の新しいかたちを提案している。
 貴重なのは、食べものをモノとして大量生産大量消費を追求しがちな今日のグローバル経済へ警鐘をならしていることだ。

 以上が、「食べる通信」 運動が提案する内容の概略である。
 本家の 「東北食べる通信」 は1500人に限定したコミュティサービスだが、この種のサービスとしては大きすぎるくらいに感じる。
 すでに、 「食べる通信」 モデルのプラットフォームは整備されており、2014年以降、ご当地 「食べる通信」 の100発刊を目標に食べる通信リーグを展開している。

 さて、こうした試みは新しい ”豊かさ” を追求しているのだが、反面、そもそも経済的・精神的なゆとりが前提になってしまうかもしれない。この試みはいわゆる 「連帯経済」 の一環ともいえるが、連帯経済はそうした前提とは異なる。この連帯経済と触れられ
ていない 「エネルギーの地産地消」 は書き残している。

 いずれにせよ、大切なのは、自分たちの地域の食生活はどうあるか?を見つめ直すことだろう。

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