« スペインな人たち2014(その4) | トップページ | DEファシリAD講座第5講 「学校教育とワールド・カフェ」 »

2014年9月21日 (日)

DEファシリ講座 第15講 「深い対話」

 拓殖大学開発教育ファシリテーター講座の後半が始まった。後期は、前期で得たファシリテーションの基本と諸課題の学問的素養をもとに、アクティビティを作成し、実践的なファシリを体験していく。後期の始めは 「深い対話」 がテーマの特講。ファシリテーターは議論だけでなく、対話にどう関わるかも問われる。

 講師としてお呼びしたのは多田孝志先生(目白大学)。先生が顧問をされている 「グローバル教育フォーラム」 で研究課題を共有させていただいている。
 授業では、ワークをふんだんに組み入れながら対話の理念を明快に伝えていただいた。


--

9月17日(水) 第15講
「ワークショップの可能性」 (テーマ: 「深い対話」 )
~どうやったら、人と人が表面的な話し合いを超えて、深い対話ができるだろうか?

1 対話の基礎

(1)対話で大切なのは「聴く」こと。( 「聞く」 のでなく 「聴く」 )
   → しかし、聴くことには、努力と忍耐がいる。

(2)世界は多様
   → 日本人には思いもかけない感覚の違い(文化の違い)が当たり前である。
   → グローバル時代の「共生」とは「異質との共生」

(3)対話は応答
   → 相手の言うことをきちんと受け止めてきちんと返さなくてはならない。
   → 違う意見、意外な意見を受け止めて返す。そこから発展させる力が求められる。


(4)応答を深める
   → 質問をしたら、その応答に、もうひとつ掘り下げて訊く力が求められる。

(5)対話から成長へ
   → 対話の応答から、関係づくりへ、そして自己成長・変革に至る可能性が重要

2 対話の意義

 自分の考えを言うことだけでなく、誰かに認識・理解・共感・納得してもらうことであり、人の考えを認識・理解・共感・納得することでもある。
 話し合うこと(対話)の意義は、ひとつの結論に至るよりも、それによって自分自身が深まったり、変わったりすることにある。
 いろいろな人々と関わって生きていくことが求められる社会に生きていく子どもたちには、言語表現とともに、体的接触、身振り、また他者との間合い(時間的・空間的)を計る力など多様な力を培わせることが必要である。
 また、対立に直面したとき、それを乗り越える力、他者と協力して何かを創り出す力を育ませたい。
 その橋渡しをするのが対話である。

3 グローバル時代の対話力

(1)相手の意図や考え方を的確に理解し、根拠を加えて論理的に説明したり、反論したり、相手を説得したりできる。

(2)対立・批判や異見に傷つくことなく、むしろそれらを生かし、調整し、新たな解決策や智慧を共有していける。

(3)納得、共感できる他者の見解に啓発され、自分の意見を再組織化できる。

4 深い対話のスキル

(1)「聴く」スキル

(2)「話す」スキル

(3)議論を拡大深化させるスキル

(4)視野を広め、思慮を深めるスキル

5 何が深い対話をもたらすか

(1)ズレと厚みの尊重 ・・・ すれ違いを肯定するコミュニケーション

(2)浮遊的思索の重視 ・・・ 混沌 (葛藤・悩み・戸惑い) あってこそ創発が生成される

(3)響感・イメージ力 ・・・ 「伝え合い」から「通じ合い」、さらに「響き合い」、「創り合う」

<注> 筆者の学び
 ここでの 「響き合い」 という言葉に筆者は大きな衝撃を受けた。
 対話には三つの 「共」 (共有・共感・共創) の要素が伴うことは認識していたが、「響き合い」 = 「響感」 こそが 「共感」 の根源なのだと感じた。
「伝え合う」 だけでは対話はなりたたない。さらに 「響き合う」 ことが問われるのである。
 また、この点で、対話は特別なものではない。一般の会話でも 「響き合う」 共感はつきものだから。ここにおいて、構えてしまって 「響き合う」 ことのない対話は一般の会話よりコミュニケーションできていないと言えよう。対話は、「響き合う」 とともに 「創り合う」 ところまで行くことで、はじめて会話と区別されるのであろう。
 この観点は簡単なことのようだが、私にとって 「目からウロコ」 のイメージだった。

6 「通じ合い」 「響き合う」 ということ

心が響き合い、心がつながり合うことを事例で考える
→ ユニセフの1minute動画を観る

7 (まとめⅠ) グローバル時代の対話の留意事項

(1)対話は応答である。
(2)自分の意見を持ち、それを効果的に伝える力(事例やユ~モアの挿入含む)を持つ。
(3)「批判や異見」を恐れず、むしろ受容し、活用し、納得できる意見ならば、自分の意見を再組織していく順応性・柔軟性を持つ。
(4)利害の対立、理解の不可能性を認識しつつも、何とか妥協点を見つけ、解決していき、さまざまな意見を統合して新たな知恵を生み出す方法を習得する。
(5)相手の文化や価値観、立場への「響感・イメージ力」を高めておく。
(6)相対的見方、複眼的思考などのさまざまな手法を意識的に習得し、活用する。

8 (まとめⅡ) グローバル時代の対話力育成のための留意事項

(1)多様性・複雑性の尊重と智の創造
(2)全人的見方と不確実性、曖昧さの重視



<参加者のふりかえりより>

声A : とっても面白い授業でした !!
本当に今日は受けて良かったです。(←いや、いつも思ってますが!)
対話に関して、人とのコミュニケーション、理解すること、すごく胸に響きました。
ならば、どんなことが対話力を高めるのか、、、この部分を教育に関わるものとしてもっと知りたいです!

声B : 深い対話にはいろんな要素が必要で、相手を認めること、対話の中で自己変革すること、相手とのズレを楽しむことだとわかった。

声C : 学校現場では”言語活動”という研究がさかんである。私自身も国語の授業で研究授業を発表することが決まっているので、子どもたちに足りないものを急きょ補おうとがんばっている。
彼らに足りないのはまさに対話。一斉授業では静かに聞くが、誰も発表しない。恥ずかしい、傷つきたくない。色んな思いが一杯だ。
とりあえず、2人で対話。次は6人で対話。順々に対話の幅を広げてみる。最近では、ただの情報伝達ではなく、少し相手の話を聞いて深めていけているような気がします。
でも、もっと効果的な対話の育み方を教えて頂けたら嬉しいです。

声D : 多様性が重要で、そのなかで相互に異なる価値観を共有し、相手に思いやりをもって、ズレがあっても認め合うことが大切であることが理解できた。
共生・寛容性・複雑性の尊重、全人的見方など、深い対話のための心構えは良く判った。
知識としての理解から、実践として実行に移せるかは、意識的に日常体験していくしかない。
継続的な訓練があらゆる場で求められる。

声E : 今の世界の実情の中で、政治的な対話は非常に難しい。しかし、庶民や民間同士の中では対話が成り立ち得ると改めて思った。
即解決ができないことの多いこの社会において、国や思想を越え、本当の平和をもたらすものは人と人との対話なのだと思う。一庶民同士の対話が世界の流れを動かすことがある。「深い対話」の大もとに全人類的平和と幸福を願う心があり、それこそが「ズレ」を尊重する心につながるとも思った。
また、混沌が生まれる深い発問のできる授業をしたい、対話をしたいとも思った。

« スペインな人たち2014(その4) | トップページ | DEファシリAD講座第5講 「学校教育とワールド・カフェ」 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/559271/60351347

この記事へのトラックバック一覧です: DEファシリ講座 第15講 「深い対話」:

« スペインな人たち2014(その4) | トップページ | DEファシリAD講座第5講 「学校教育とワールド・カフェ」 »