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2014年1月23日 (木)

OST(オープン・スペース・テクノロジー)

 開発教育ファシリテーター講座 (アドバンストコース) 第9講は、これまで軸として学んできたホールシステム・アプローチの4つ目の手法としてOST (オープン・スペース・テクノロジー) を体験した。当講座を支えてくださっている香取講師の今年度最終講義である。

 私たちの教育分野にとって重要なのは learning facilitation (学びのファシリテーション) である。私たちはそのための有力な方法としてホールシステム・アプローチを学んできた。
 ここでは特に、学習者主体の学びとしての collaborative learning (協働の学び) や談話のレベルから共創のレベルに至る dialogue (対話=ダイアログ) の要素に着目している。
 私たちが教育分野 (開発教育) に適用するのに十分な魅力が内包されている。

 さて、これについては最後に考察するとして、まずは授業の内容について整理しよう。


1 解 説 OST (Open Space Technology) の概要

 OSTも全員参加の話し合いの方法のひとつである。重要なテーマに関連して、関係者が議論したい課題を提案し、自主的にスケジュールを決めて話し合いを進める。
 参加者の当事者意識と自己組織力を最大限に引き出すことによって、参加者が納得できる合意に到達できることを最大限に重視する。

 そして、ホールシステム・アプローチのすべてに通じることとして、話し合いは参加者の自由に任されているが、実際は、話し合いの構造と流れはアプローチの中に組み込まれている。


 OSTの4原則 :
(1) ここにやってきた人は誰でも適任者
(2) 何が起ころうと、それは起こるべき唯一のこと
(3) いつ始まろうと、始まったときが適切なとき
(4) いつ終わろうと、終わったときが終わりのとき

 「移動性の法則」 :
□ どのように時間を使うかは参加者各自の責任である。
     →グループの中で貢献できそうにないなら、他の分科会に移動して他花受粉
     →既存の分科会に必ずしも参加せずとも良い(~新しい分科会の可能性)


 OSTの4つの仕組み :
(1) サークル ・・・ サークル状の椅子配置
(2) 呼吸 ・・・ 参加者の息が合うこと
(3) コミュニティ掲示板 ・・・ 提案用紙を貼る掲示板
(4) マーケットプレイス ・・・ 参加のサインアップ (~調整)

OSTの2つのエンジン : 課題に対して興味・関心をもって集中して取り組むこと
(1) 情熱 Pssion
(2) 責任 Responsibility


2 演 習

 OSTの流れは、オープニング~検討テーマの提案~マーケットプレイス~分科会
→ プロジェクト提案~アクションチームの編成~クロージング。
 通常は、半日から2日半を要するが、今回は、検討テーマの提案から分科会までの流れを一通り体験した。

1) 本日のテーマ
・・・ 「ホールシステム・アプローチについて、開発教育ファシリテーター講座で学んだことを活用するために為すべきこと、考えたいこと」


2) コミュニティ掲示板への提案 (~4つの提案が出された)
・・・ ① 最適なワークショップの選び方
    ② 企画の仲間の作り方
   ③ 企業での活用の仕方
   ④ ワークショップの評価

4) マーケットプレイスでのサインアップ

5) 役割分担をして話し合い (~議事録作成)

6) 話し合いの共有 

7) 質疑応答


3 参加者のふりかえりシートより

声A : 「OSTの4原則はいいなぁ。誰であろうと、何が起ころうと、いつ始まろうと終わろうと、それがベスト」

声B : 「説明を聞いただけでは再現が困難だったけれどもサンプル演習を通じて、ようやく感覚をつかむことができた。OSTの良さ、面白さをわかることができた」

声C : 「各手法の基本的な流れを理解することで、初めてカスタマイズした効果的な使い方が可能になる。会社で使うマッピングを作ると良いと思った。(会議用、企画用、研修用、普段使い、等)」

声D:「IDEC流ホールシステム・アプローチを提案したいと願っています」

声E : 「2泊3日でやってみたいです」


4 まとめとして

 最初に書いたように、当講座は (そのままビジネス分野で活用することも視野にいれながら) 本筋としては教育分野への適用を模索している。
 私たちのめざすものは、learning facilitation (学びのファシリテーション) である。これに関して、当講座では、通常コースでファシリテーションの基礎を学び、アドバンストコースでは、その発展としてホールシステム・アプローチを軸に学んできた。
 ゆえに、これまでのアドバンストの学びが通常コースの基礎のうえにどのような学び(開発教育の学び)を築けるかが最終的課題と言わねばならない。

 
 また、OSTでは、ファシリテーターは 「時間とスペースを創る」 & 「時間とスペースを保持する」 存在とされる。つまり、オープンな場を開き、オープンな場を保持する存在であって、決して場をコントロールしようとはしない。(授業では体験できないが) 重要なのは、仕切るのではなく精密な準備としかけによって仕組むことなのである。
 さらに関連して、究極のファシリテーターは 「ジェネレイティブ・ファシリテーター」 と言われるが、教育においてそれはどういうことかが問われよう。

 ここにおける教育的観点は、学習者主体の学びとしての collaborative facilitation (協働の学び) である。さらに、知は教え込まれるものでなく共に学び合うなかで構成され深まるものであるゆえに、重要なのは談話のレベルから共創のレベルに至る dialogue (対話=ダイアログ) である。
 ホールシステム・アプローチは教育で重要なこうした要素がゆたかに内包しており、新しい協働の学びのデザインを描くことに大きく寄与するものであることを提言したい。

 根本的に、ビジネスと教育を相容れないものとすることは間違いである。聴き合い~学び合い~参加・協力していく協働の学びと、解の見えない世界で未来を模索し共創してくビジネスの営み (フューチャーセッション) とは相容れないどころか根本的に同質と考えることができる。勿論、教育では、対象が社会人か子どもかの違いは十分に考慮されなければならない。

 現在、当講座を主催する拓殖大学国際開発教育センターでは、これまで十年の実践を土台として、当講座の修了生の有志と研究会を営みながら、learning facilitation (学びのファシリテーション) の普及書 (弘文堂刊) 出版に向けた活動をしている 。

 この場では、その報告にとどめるが、こうした刊行の成果として、まず第一に、教育におけるファシリテーションの普及に貢献すること、さらに第二に、協働の学びの新しいデザインへのいざないになることを願っている。

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