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2013年12月30日 (月)

フューチャーサーチ

 開発教育ファシリテーター講座 (アドバンストコース) はホールシステム・アプローチの手法を通してファシリテーションを学ぶことを軸としている。第8講はワールド・カフェ、AI に続くフューチャーサーチだった。今回も香取一昭氏の暖かい支援に感謝。

 改めて書くと、ホールシステム・アプローチは、不特定多数の関係者が一堂に会してさまざまな課題や共通の未来について話し合う手法の総称だ。
 ワールド・カフェ、AI、フューチャーサーチ、OSTが代表的手法だが、それをファシリテーター講座のアドバンストコースで研究対象としているのは、そこでは対話 (ダイアログ) が重視されており、それとの関連でファシリテーションの真髄が含まれていると考えているからに他ならない。


1 解説 フューチャーサーチの概要

 フューチャーサーチとは、課題に関連するステークホルダーが参加して、過去~現在~未来の視点から対話 (ダイアログ) を行うことで、参加者全員が共有できる共通の基盤 (コモングラウンド) を見いだし、共有できるビジョンを描いて、そのための行動計画と実行チームを編成するまでのプロセスである。
 このプロセスでは、重要なステークホルダーをできるだけ集めることが重要であり、全体像を把握することを重視し、合意できるもの (共通の価値) に焦点を当て、グループ内で自律的な話し合いを進める。
 整理すると、フューチャーサーチは、過去~現在~未来~コモングラウンド~アクションプランの5つの要素で構成される。歴史的変化を考察するので、ここでは不安定要素が伴い、参加者は 「ジェットコースターに乗る」 ことになるとされている。


2 演 習

 本来のフューチャーサーチは2泊3日で行うが、今回の体験は、過去の年表作成と現在の考察および未来の理想的なシナリオ表現までのあらましを体験した。テーマは 「日本における働き方の未来」。

 まず、「働く」 ことのイメージを確認するために、参加者各自が好みのポストカードを選んでグループ内でストーリを作成した。
 そのうえで、過去について、1993年以前、1994~1998年、1999~2003年、2004~2008年、2009~2013年の空欄がある表にまず個人レベルで記入し、次に全員で年表を作成した。そして、年表から何が読み取れるかをグループで話し合い、それをワールドカフェ形式 (フューチャーカフェ) で進めながら、歴史的変化が現在の自分たちが経験している働き方に影響していることについて考察し、そのポイントを発表しあった。
 さらに、休憩後、現在のトレンドを話し合ったが、こうした一連の活動は不安定を生み出していた。そのうえで、各自が働き方について 「自慢して良いと思うこと」 「申し訳ないと思うこと」 を出し合うことで自己開示し自分事として考えた。

 最後に、10年後の未来に望ましいと思う働き方を想定して、ここでもカードを選んでストーリーに仕立て共有した。ここでの課題は、最初に選んだカードと今選んだカードの違いを検討し、理想的な未来の働き方を想定することにある。
 大枠として、多くのグループの結果は、IT化され、多様化する労働環境の変化に合わせた働き方が抽出されていた。そして、一生懸命に生きる部分とゆとりをもって生きることに配慮する構想がみられた。


3 参加者のふりかえりカードより

声A : 「仕事を考えるワークの流れがうまくできていると思った。ワールドカフェを組み合わせてやれることが分かった。」

声B : 「時間と視点という2つの軸からのアプローチということで、多様な見方のアウトプットが出てきた、という印象を持った。」

声C : 「”フューチャーカフェ” に参加してみて、改めて内省→対話→発見→内省のようなプロセスの重要性に気づいた。・・・ 正直なところ、パーソナル、ローカル、グローバルという3つの軸でどのようにひとつのことを読み解くのかと疑問だったが、全体としてつながっていったので驚いた。」

声D : 「大勢で対話することで、十人十色のアイディア、経験が共有でき、気づきや発見が多いということに改めて感心した。」


4 まとめ

 これまで、ホールシステム・アプローチを3種類経験してきたことで、ワールドカフェ、AI との比較が可能になった。基本的に宿泊を伴う前回の AI と今回のフューチャーサーチは構成が似ている。つまり、前回の Discovery ~ Dream の部分が今回の過去~現在~未来に該当しており、AI はこのあとに Design ~ Destiny、フューチャーサーチはコモングラウンド~アクションプランのプロセスを経て行動につなぐ。

 対して、比較的短時間で構成可能なワールドカフェは、これらの前半部分に該当する。そして、次回のOSTはアクションプランに直結する後半部分に該当する。したがって、行動計画にまでつながらないワールドカフェを補うのに、ワールドカフェ+OSTの組み合わせもパターンとして成立しているという。

 個人的学びを書けば、私はこのフューチャーサーチからファシリテーターのあり方をもっとも学んだ。創始者のMワースボードとSジャノフは、「ファシリテーターは何もしないでただそこに立っていなさい!(Don't Just Do Something , Stand There ! ) 」 と表現しているが、それはどういうことか?ということ。
 このことは、実は、ホールシステム・アプローチすべてに貫徹している。周到な準備、しかけ及び問い、参加者の自主的主体的対話を見守ることなどを第一義としている。

 さらに、その哲学はフューチャーサーチの 「ジェットコースターに乗る」 プロセスの中に端的に現れているようだ。つまり、不確実性に漂うなかで、多様性の良さをいかに引き出し、いかに共創レベルで深めるかが最も肝になっていると私は受けとめている。(参考: 『フューチャーサーチ』、ヒューマンバリュー、2009)

 次回第9講での OST にも大きな学びを期待したい。ありがとうございました。

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