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2013年10月13日 (日)

開発教育アクティビティ考

 開発教育ファシリテーター講座 (拓大) 10期の第18講のテーマは 「開発教育ワークショップ」。いよいよ後期が本格スタートした。ここでは、その授業内容を紹介し、楽しく学ぶための見通しを展望する。

 授業は、導入レクチャー+アクティビティ事例紹介。
 アクティビティは、小貫編 『援助と開発』(開発教育協議会) の中の 「援助国になる」 を使った。かなり古い教材だが、ゆえに援助問題の原点を探るのに適している。そして新しい使い方を工夫することで今日的な国際協力のあり方につなぐ教材とすることができる。

 以下は、講座のMLに流した内容を軸にメール形式で書いていこう。


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 昨日は18講 「開発教育ワークショップ」 でした。
いよいよ後期が正式にスタートした感があります。

 このメールでは、昨日の授業のふりかえりを兼ねながら、後期に向けての重要事項を確認していきたいと思います。
 以下の項目で、皆のふりかえりシートを紹介しなかがら書いていきます。
1 ファシリテーターとしての伝え方について
2 開発教育について
3 アクティビティその他について
4 「2つのプロセス」 について

1 ファシリテーターとしての伝え方について

 先週の海外研修報告会で参加した方々は 「伝える」 ことを経験しました。
苦心を凝らした報告への高い評価と共に、伝える側の気持ち、聞く側の気持ちをその時間のふりかえりシートで紹介しました。

 そして、そこからの出発点は、
「もしあと1時間あったらどんな報告を追加しますか?」
ということでした。

 後期で身につける力は、講演者やプレゼンテイターではなく、ファシリテーターとしての伝え方とも言えます。
伝えたいメッセージはあるのが当然です。それをテーマとして絞り込みます。
そして、参加者に説明するのでなく、参加者に気づいてもらうのです。
参加型の報告であること、参加者が深い気づきを得ること、それを共有すること、そこにはファシリテーターが大きく関わります。

 参加型で伝えるためのアクティビティ (学校で言えば教材) の作成、それを活用して参加者の学びを促進するファシリテーター (学校で言えば、teacher でなく learning facilitator) ・・・ こうした一連の「アウトプットする力」の修得が後期の目標です。

 さて、授業終了後、皆が不安そうに感じたのは私の錯覚でしょうか?(笑)

声A 「(気づいたこと) 拡散~混沌~収束で混沌が大きいほど深まる」

声B 「混沌を生み出す、その中で気づきをつくり出すのは難しいことだと思うが、実際のモデルの中で、そのコツが少しだけ感じられたと思う」

声C 「ファシリテーターは今までの ”教える” スタイルから ”がまんする” スタイルに変えていかないとダメだと痛感した」

  ・・・ 大丈夫です。結成したチームの楽しい団結とともに、チーム力が一人ひとりのアイディアを生み出し、実践力を高めていく  と経験上、言えます。
10期生も今は難しくてできるか不安でも、これまで9年間の修了生と同じく、ファシリテーターとしてもう一段上の実践力を高めていくのです。
 なお、昨日の授業は、レクチャー+事例紹介という通常のパターンであって、テーマを追求する伝え方のモデルではありません。

2 開発教育について

 昨日の授業は開発教育に関する教材の紹介と解説でした。
開発教育の柱は「貧困~開発~国際協力」ですから、援助の教材を紹介しました。
そうした中で、開発教育についての所感が出ています。

声D 「開発教育は、改めて、奥が深いし、生徒に気づきを与えて将来の糧になる教育であると実感しました」

声E 「世界全体がどういう方向性に進むのか、進みたいのか、まさに自身の問題として考えることが開発教育だなぁ と思った」

 一般に開発教育では、学習内容について、以下の5つの目標を掲げていますよね。
(1) 基礎として、人間の尊厳性 (人権) と文化の尊重
(2) 貧困や格差の探求
(3) 環境破壊など地球的諸課題との密接なつながり理解
(4) 世界の問題と私たち自身の深いつながり理解
(5) 協力の取り組み理解と参加

 ゆえに、後期で取り組むテーマは上記に照らしても多種多彩です。
たとえば、「子ども」 「文化」 「食」 「環境」 「貿易」 「貧困」 「識字」 「難民」 「国際協力」 「ジェンダー」 「在住外国人」 「まちづくり」 などなど ・・・。

声F 「開発教育には答えがない。だから考えがいがある」

 開発教育の答えはオープンエンドで考え続けることの意義を書いていると思います。その通りです。
一方で、開発教育の問いへの解はたくさんあって、それを意思決定することもまた、今回の教材もそうですが問われます。

 今回の教材では、援助のあり方として、自立を重視する姿勢、格差が生じることへに取り組む視点、主体性のための環境整備を優先してあとは当事国の主体性に任せる考え方、私たちの足元との関係性を考えるなど、さまざまな視点が出たのでした。。

3 アクティビティその他について

声G 「バングラデシュという国についての知識がなかったので、議論するのが難しかった。グループワークの前に、背景を理解するために、バングラデシュの状況を紹介してほしかった」

 状況はできるだけ説明せず、今回の場合なら 「プロジェクト・カード」 で推測してもらうのがアクティビティですが、それでも基礎知識は重要です。私の説明不足でした。

 また、この教材はカードを読み込むのに時間がかかります。国語力にも左右される懸念があるので、学校で使う場合は、実情に応じて内容を簡素化するか、クラス全体で読み合わすなどの配慮が必要ですね。

声H 「鉄道開発のプロジェクトに賛成していた班が多かったが、最後のワークでは援助しない援助や格差のない経済発展など、まったく違った視点から援助の仕方が見えておもしろかった」

声I 「開発とは経済開発だけでなく人を育てる事が重要である(自立の促進)。両立が大事である事に気づいた」

声J 「他のグループが全てインフラ整備を考えていたことに驚いた。TRADSの発想は原発の発想と似ている。インフラにぶらさがっている人の雇用はインフラを持続させないと成立しないようにできている。そのような仕組みに私たちは気づかなければいけないと思う。
 プログラムの流れをしっかり考えていこうと思う。アクティビティ、ワークショップを考えるのが楽しみになった」

声K 「”与えられたアクティビティをこなす” から ”効果的なアクティビティを作る” にシフトさせる時期に来たんだなぁと思った。この講座のゴールやつけるべき力がみえてきた」

4 「2つのプロセス」 について

 時間不足だったためか、これがいま一つ分からないという声が多いようです。
まず、配布したFAJ(日本ファシリテーション協会)の資料を読み込んでください。

 次に、第15講の授業 (ファシリテーションってなんだろう?) の内容をまとめたブログ記事を、ぜひ、復習してください。
→ ファシリテーションとプロセス 
http://bit.ly/16JUeSY

 ファシリテーションの両輪は、コンテントとプロセスであり、プロセスとはコンテンツ (内容的側面) 以外の側面 (関係的過程) です。
 ここに例示したように、サンデル教授の 「白熱教室」 でも、絶妙な問答法とともに、場の状況を読み解く(プロセスを観る)力が両輪となっています。
そして、前者であるコンテントの流れもプロセスというので、「2つのプロセス」 というわけです。

 これは発展的なファシリテーション (アドバンストコース) の肝ともなります。
それを見通しておくと、重要なのはグループの成長による 「対話」 の展開です。そして、そこでのファシリテーターは、コンテントをコントロールすることは手放し、プロセスは保持して場を見守る存在となるのです ・・・。


(後略)

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 ファシリテーター講座(通常コース)のフォシリテーション能力の基準は 「アクティビティをして語らしめる」 ということ。そして、「充実はチームの笑顔とともに」 ・・・。
後半も共に学んで行きたい。

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