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2013年9月16日 (月)

ワールド・カフェをめぐって

 開発教育ファシリ講座(拓大) アドバンストコースの第5講のテーマは 「ホールシステム・アプローチとダイアログ」。前回の香取一昭氏をお招きしてのワールド・カフェ体験をベースに、ワールド・カフェをいかに実施するかに関して実践的研究を行った。

 チェック・インでのリクエストでは、まず問いの立て方への関心があり、さらに、ワールド・カフェを物足りないと感じさせない、あるいはダイアログを深めるためにはどうしたら良いか検討したいという問題意識が共有された。

 当方が用意したメニュー(3時間構成)は以下の通り。
1 前回の学び+α(7つの原理とWCのしくみ)
2 これまでのワークショップとの比較
3 ワールド・カフェのファシリテーターとは
4 問いを作る力 <ワーク1>
5 ワールド・カフェのすばらしさと検討課題
6 IDEC流ワールド・カフェ構想を考えてみる <ワーク2>

 参加者のリクエストには概ね対応できる見通し。ちなみに「IDEC」とは講座を主催している国際開発教育センターの略称。

 以下が授業の概要 (夜の部でわいわいとカフェ的対話をした内容も補足している)。
最後に受講者の声を幾つか紹介してふりかえりとしよう。


1 前回の学び+α(7つの原理とWCのしくみ)

 ここでは3つのラウンド+全体ラウンドというワールド・カフェのオーソドックスなモデルを前提に、全体像を原理的に考えてみた。

 7つの原理の要諦は、コンテキスト設定、もてなしの空間、問いの重視、全員の参加、多様な視点、傾聴、集合知の共有であるが、これらはワールド・カフェのしくみのなかに組み込まれている。まずはこの確認をした。


2 これまでのワークショップとの比較

 私たちが通常実践しているポストイットを使ったグループワークを軸にファシリテーターが存在するワークショップとの違いを確認。

 ここで共通項として認識できるのは、通常必要なファシリテーターの促進スキルが各ラウンドの進行のなかにしくみとして巧みに内包していることである。
 
 ファシリテーションの基本要素を時間をかけて吟味してみたが、多くの要素は内包されていた。「空間デザイン」、「グループサイズ」、「問いと傾聴」、「ブレスト」、「プロセスデザイン」 などの要素とスキル 等々である。

 したがって、ワールド・カフェは、ことさらにファシリテーターを必要としない。ファシリテーターではなくホストが存在し、「プロセスがデザインされたもてなしの場」 を保持する。
 このファシリテーターとホストの違いだけでなく、FG(ファシリテーション・グラフィック)を地図とする進行も必要としない。TR(テーブル・レコーディング)に ”いたずら書き” すれば良いとされる。
 そして、もっとも着目する相違点は、ラウンド編成でメンバーが入れ替わる「他花受粉」のプロセスで、多様な視点をしくみのなかに内包していることだ。


3 ワールド・カフェのファシリテーターとは

 カフェ・ホストの仕事のほとんどは準備段階で行われている。コンテキストを設定し、プロセスをデザインし、問いを作成し、もてなしの場づくり、等である。

 ワールド・カフェばかりでなく、ホールシステム・アプローチのファシリテーターは、「スペースを開き、スペースを保持する」。
 有名な言葉 :” Don't Just Do Something, Stand There ! ” に表現されるごとく、何をするかではなく、どうあるかが問われる。

 ファシリテーターとしての役割は、あらかじめ設定した一連の活動の流れにそって参加者を導くのみで、過度の介入を避ける。

 授業での問答では、通常、ファシリテーターはねらいやゴールをもって誘導してしまうリスクがあるが、ワールド・カフェは参加者を信じることで、ダイアログの場から新しく生成されるものを可能にすることに着目した。


4 問いを作る力 <ワーク1>

 問いをつくるヒントを確認。
 ワールド・カフェを成功に導くためには、適切な問いで、ダイアログの深みを増すことが極めて重要である。

 「力強い質問=人々にエネルギーを与える質問」 は、問題を問題視する質問ではなく、価値観や希望を引き出すもの、つまり何か大きなものに関連して、互いに方向性を共有できるもの。それは、オープンで、ポジティブで、かつシンプルである。

 私たちは、はじめに、ネガティブな問いをポジティブな問いに転換すること、達成したい未来との関係で考えることを重視し、ラウンドごとの質問事例を共有した。(1R:ポジティブ思考の問い、2R:未来思考の問い、3R:行動(最初の一歩)につながる問い)

 実際に問いを作るワークでは、ラウンドごとの3つの問いと、変形バージョンとして、全体を1つの問いで通す場合のたった1つの問いを作ってみた。
 どのグループも、最初に3つの問いを考え、そのあとそれらの中心課題を探すかたちで1つの問いに集約していた。そこでの切り口は、「そもそも論」 「モヤモヤの解明」 であった。



5 ワールド・カフェのすばらしさと検討課題

 私たちの講座はファシリテーター養成を志向しているから、成功したファシリテーションは参加者に腑に落ちるものがあることを目標としている。
 ゆえに、参加者にとってワールド・カフェが成功するとは、深い洞察ができて物足りなさが残らないことを前提としているのではないだろうか。

 私はワールド・カフェはすばらしいダイアログ手法と考えている。だからこそ、有効な改善が可能なら模索したいと考える。

 ワールド・カフェは、プロセスがデザインされたもてなしの空間が設定されてること、ダイアログが活性化する問いを突き詰めていること、多様性の相互作用で洞察が深まるしくみを内包している等々、すばらしい。
 そして、ファシリテーターの ”職人芸” を必要とせず、深いダイアログを可能にしているシステムが大きな魅力である。

 物足りなさを感じさせるリスク要因として、検討課題にあがったのは、テーブル・ホストの役割であり、そもそもダイアログにおけるファシリテーションをどう考えるかだった。

 ここで、私が資料として用意していたのは、Pセンゲ 『学習する組織』 にあるダイアログとは何か、さらにダイアログとファシリテーターの存在の必要性だった。
 要するに、ダイアログはディスカッションと異なるが、これらは往々混在してしまう。ゆえに、ダイアログ・モードを保持する存在が必要になる。このこととテーブル・ホストの役割との関連が課題となるだろう。(介入ではない促進)

 加えて、TRの活用、その他、グランドルール(カフェエチケット)の工夫を検討した。


6 IDEC流ワールド・カフェ構想を考えてみる

 5の検討を踏まえて6のワークで ”締める” つもりがなんと時間切れ。最低20分は必要なのに10分程度しかとれそうにないというタイムマネジメントのミスだが、終了時間厳守でやっているのでどうしようもない。
 参加者のモヤモヤはかなりのものだったと思われる。

 結果として、参加者は学生ラウンジに場を移して、自主的ワークを実施していた。
これはこれで、私はすばらしいことと思い、参加者の集中力・意欲・レベルの高さに感動するのだが、ただ反省するしかない。。


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 長くなるので、ここでは時間切れでなく紙面切れ。m(__)m
大切なことを書ききれていないのだが、明日にでも、参加者の幾つかの声を紹介するなかで補足したい。

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