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2013年9月17日 (火)

ワールド・カフェをめぐって(続き)

 昨日は、ワールド・カフェをめぐっての授業内容を紹介した。本日は、参加者の声を紹介しながら 「ふりかえり」 をしよう。

 当方が授業に用意したメニューは以下の通りであった。
1 前回の学び+α(7つの原理とWCのしくみ) <資料1>
2 これまでのワークショップとの比較
3 ワールド・カフェのファシリテーターとは <資料2>
4 問いを作る力 <資料3,4> ~ ワーク1
5 ワールド・カフェのすばらしさと検討課題 <資料5>
6 IDEC流ワールド・カフェ構想を考えてみる ~ ワーク2

 3時間構成とはいえ、かなり欲張った内容だ。
ただし、事前に 『ワールド・カフェをやろう』(香取一昭/大川恒) をテキストに指定し、一読してあることが前提なので、解説は 『ワールド・カフェ』(Jブラウン/Dアイザックス/ワールド・カフェ・コミュニティ) など他の参考文献の確認くらいではしょる見通し。

 授業のねらいは、第一に、ダイアログを活性化させるシステムとしてのワールド・カフェを原理的に理解すること。このことは、私たちのファシリテータ講座の中心課題であるファシリテーション・スキルを巧みに内包するしくみを7つの原理とファシリテーションの基本的諸要素から吟味し、もてなしの空間づくり、大切な問いづくり 等を極めることである。

 次に、「どうしたら私たちは十分に話し合うことができるのか」 について、改善点をも探りながら検討すること。このことは、ダイアログについての理解を深め、それを推進するためにファシリテーションにできることはないか、介入ではなく促進の手立てはないかを検討することである。

 私の授業は、20分+10分(共有)のワークを組み込むプランを基本とするが、今回のふたつのワークは、これらのねらいを主体的な話し合いで検討するためのものとして用意した。

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 以下、こうしたねらいがどこまで達成できたのか。(恥ずかしさをこらえて) 参加者の声を紹介しながらふりかえる。


A 「もうちょっと、いろいろなグループワークで考えていけるともっと良いと思いました」

・・・ 2つめのワークが時間切れでできなくなり、参加者は授業終了後に学生ラウンジに場所を変えて、自主的にワークをやることになったことは、昨日書いた通り。
 参加しているメンバーはファシリテーター(あるいはその卵)なので、解説はもちろん、授業での問答よりもグループで話し合う学びを大切にするのである。
 こちらの伝えたいこととのバランスは難しいのだが、「もっとワークを!」 のニーズに応えられるか否かは重要な評価基準だ。反省材料。(苦笑)


B 「今日は話をきく割合が多かったので、もっとワークしたい!と思った一方で、いろいろ受け取ったものは多く、参考図書や資料をもう一度ちゃんと読み返して消化したいと思います」

・・・ これが中庸の声。是非、是非、がんばっていただきたい。
 授業者はこうした学習者の学びに応えなければならない。伝えたいことの共有と主体的学習活動とのバランスこそが通常の学校教育の授業の現実的課題でもある。教職課程でそんなことを課題にしながら、自分自身がいまだに悪戦苦闘している。(苦笑)


C 「ワールドカフェが一種の万能薬的な語られ方をしている傾向を特にワークショップ関係者の中に見受けられるので、ワールドカフェがもつ課題を次々話し合ったのは有益でした。ワールドカフェの理解が深まったように思います。
 
今日は、活発な意見のやりとりがあって、アドバンスト自身にダイアログの芽ばえを感じました」


・・・ 前向きな声の例。この指摘は、受講生自体のダイアログ能力の高まりを客観的に見てくれていて心強い。

D 「ワールドカフェの流れをふまえた上で、問いづくり、TRのあり方、Tホストの役割、、、1つ1つをていねいに復習することができました」

・・・ この声の主は、ワールドカフェを学校の授業の中にどんどん取り入れている実践者だ。実践者としての授業吸収の仕方がうかがえると思う。

E 「課題が見えてきた! かな? ~IDEC流ワールドカフェ構想~
 カフェホストのファシリテーション、エチケットやグランドルールの工夫を!、TR(テーブルレコーディング)に改善の要、、工夫を!」


・・・ この声の主も、学校での参加型学習やダイアログの実践者。私と探求の方向性が極めて類似していることが嬉しい。
 他の参加者の声で、最初にアイスブレイクで、自己紹介やテーマに対する内なる動機を共有する時間を大切にすると良いのでは、という指摘もあった。


F 「テーブルホストはテーブルのメンバーが問いについてのUの谷を下るための助け役ではないか?
TRは何をハーベストしたいか、問いが明確でないとむずかしそう」


・・・ 提起したかったができなかった内容を補足してくれている記述。こうした内容の共有を大切にしなければならない。
 この指摘は、U理論に基づき、深い傾聴とダイアログのプロセスに意を用いなければならないことを示している。ファシリテーターのコントロールは手放しつつ、ダイアログを促進することが問われている。


G 「ワールドカフェにおけるホストの役割でどうしてもわからない点。WCの終了時の対応方法。今日はとてもモヤモヤでした」

・・・ この声の主は、途中の休憩時間にこのことを問いかけてくれていた。このリクエストにきちんと対応する時間をとることができていなかった。m(__)m

     ↓    

 基本的に、ワールド・カフェの成否を決めるのはプロセスそのものだが、その成果は最終ラウンドに明確に現れるだろう。つまり、第3ラウンドでの 「集合知の統合」、全体ラウンドでの 「集合知の収穫と共有」 がどこまでできたかが明確になる。
 ここでの 「集合知」 とは、ゴールや決め事ではなく、共有できるより深い価値やビジョンくらいの位置づけだが、参加者がここに納得できるかどうか。
 多様な視点を活かすことができず、違いだけが拡散している事例も多い。ホストはそれを無理にまとめる必要もない。そこでのモヤモヤが悪いとも限らない。。

 授業は、そうした課題克服のためにはどうしたら良いかを検討することが Big Thema だった。
 そのために、ワールド・カフェのしかけ以外のホストの手立てを模索した。ファシリテーターとしてのコントロールは手放す。けれども、ファシリテーションのスキルやFG(ファシリテーション・グラフィック)の要素導入で、”自制ある促進” の可能性を模索した。
 これらを今後の実践課題として共有した。

 結局、ほんとうにダイアログを深めるための問いとプロセスを求め続け、実践(私たちの言葉では ”バカ’s”) を踏んでいくことが何より大切ということ。

 オープンな実践課題ゆえに、ここにもモヤモヤが潜んでいるが、今回の授業が、アドバンストコースが真の 「学習する組織」 となるための一助となれば幸い。
 これからも、Step by Step で共に!!

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