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2013年7月22日 (月)

ワールド・カフェ

 「ワールド・カフェ」 の体験と検討。これが開発教育ファシリ講座(アドバンストコース) 第4講のテーマだった。ワールド・カフェの概要を体験するとともに、その企画とファシリテーションについて理解を深める学びの機会とした。

 講師は一昨年に引き続き、香取講師をお迎えしている。
 前回は 「ホールシステム・アプローチ」 の紹介から始まったが、今回は先生の書:『ホールシステム・アプローチ』(2011) を課題図書としていること、すでに体験した受講者も多いであろうということから一歩前進し、「ワールド・カフェ」 のイメージをカード3枚で表現するというチェックインから始まった。


1 解説(1) ワールド・カフェの概要

 ワールド・カフェ誕生の由来から、背景にある考え方、ワールド・カフェの3ラウンドの流れとそこに組み込まれる しかけ について。

→ワールド・カフェは、ダイアログによるナレッジ創造の場であるが、そのためには、リラックスできる空間をつくり、立場や見解の違いを超えた自由な会話の環境を提供する。

→ゆえに可能な限りコントロールを排し、その代わり、その展開には精巧な しかけ が伴う。
しかけは、もてなしの空間+少人数会話+人の移動(他花受粉)+模造紙の活用が基本だが、何よりも重要なのはダイアログのための 「問い」 である。

→カフェでは、問いに意識を集中し、積極的に話すと共に相手の話に耳を傾ける。そして遊び心を忘れることなくいたずら書きしながらも、アイディアをつなぎ合わせてみるなどが 「カフェ・エチケット」 として推奨される。まさに、ダイアログを楽しむということ。

2 ワールド・カフェ体験

 今回体験したのはオーソドックスな3つの問いからなる3ラウンド+全体セッションだった。

→第1ラウンドの問い:あなたが今、超えたいと考えている壁
→第2ラウンドの問い:壁を超えたとしたらどのようなことが可能になるか
→第3ラウンドの問い:壁を超えるためには何が必要なのか

 各ラウンド15分で構成しているが、時間に関する新しい学びは、カフェ・ホストが黙って手をあげると各テーブルが制限時間に気づくというタイムマネジメント手法。音楽や鈴の音まして 「時間です」 の指示でなく手をあげるだけなのだが、これが不思議なほど有効なことに驚かされた。

 また、全体セッションでは、やってみて 「より深める問い」 を出し合うことも行われた。
 これによって、それまでの活動を深める切り口となる。深い洞察とは深い問いの発見である。

3 解説(2):ワールド・カフェの企画とファシリテーション

 ワールド・カフェは、人びとによる会話がつながり合うことにより未来が創造されることを仮定している(社会構成主義)。
 また、ワールド・カフェは魅力的な問いが集合的学習を促進することを仮定している。

 ワールド・カフェにおけるダイアログは 「協働的ダイアログ」 である。
 シンプルなプロセスだが、コンテキスト(目的・参加者・空間デザイン等) と 「問い」 を重視する。

 「問い」 も含めた しかけ が重要で、ホストは場に介入するのではなく、場を保持する。
 ただし、ワールド・カフェにおけるファシリテーションのポイントとして、他花受粉のための適切な説明と奨励の大切さ、いたずら書きといっても単なるメモを超えて、模造紙の活用の奨励と活用の大切さが強調された。

 ワールド・カフェには盛り上がっておしまいだったり、深まらないまま終わったり、結論がはっきりしなかったり、具体的プロジェクトにつながらない等の課題もある。
 短期的成果と長期的成果を見定め、より大きなプロセスの中でワールド・カフェを企画する配慮も必要である。

4 質疑応答

・ホストとファシリテーターの違い
→ホストは全体のプロセス設計をするカフェ・ホスト と狭義のホスト(テーブル・ホスト)が存在する。基本的には、介入するのでなく、空間をもてなし、場を保持する。

・展開の自由度
→問いと関係ない話から始まるような場があっても、カフェ・ホストは手放して見守る。

・問いの作り方
→自分事として捉え得る問い、たとえば働き方に関する問いなどは集中度が高まる傾向がある。

・ラウンドで問いを変えない是非
→問いを変えないで深めることは他花受粉の理想的なあり方ではある。


5 ふりかえり

 講座は 「ワールド・カフェ」 を企画・運営することを志している参加者への授業であるため、香取先生の進め方も実践的かつ具体的であった。
 ファシリテーターが 「しきる」 より 「しくむ」 ことに重点を置くこの手法は、ファシリテーターのあり方への大きな示唆を含んでいる。これはダイアログとファシリテーターの関わり方でもあるのだが、ファシリテーションを深めるためにも大きな意味があるように思われる。
 次講はこうした観点からワールド・カフェから学ぶことを深める予定である。

 参加者のふりかえりシートに書かれた内容は以下の通り。良好であった。香取先生の残り3回の特別講義からも多くを学びたいと思う。

●「実際に体験しながら、ワールド・カフェの場のつくり方を理論を踏まえながらレクチャーしていただいたので体系的に理解できた。」
●「ワールド・カフェを体験して、改めてダイアログの重要性を痛感しました。
雑談から生まれるアイディア、会話の連鎖から発生するナレッジなどなど体験できて良かったです。」
●「香取先生の講義を聞けるチャンスをいただき、ありがとうございました。知っているようで知らなかったワールド・カフェの流れをしっかり学べることができたので良かったです!
場をつくることの大切さ、問いをつくることのむずかしさを知りました。」
●「実際にホスト/ファシリを行ってのジレンマ/課題が聞けたので、実感をもってとりくめた。」
●「実践をまじえてのワールド・カフェ講義で、わかりやすく、自分でもどんな風にワールド・カフェを企画・運営できたら良いのか、あれこれと楽しく考えられる時間でした。ありがとうございました!!」


 
 

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