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2013年6月20日 (木)

小説を使った授業(3)

 開発教育ファシリテーター講座のアドバンストコースは土曜集中の3時間授業だ。そのうち、半分を講義、半分をワークに当てている。
 2日かけて講義部分のヤマは越えた。今回はワークの紹介へ。

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(4)ダイアログの基本ステップ

 これまでをまとめます。
ファシリテーターにとっては、ダイアログの三段階を整理することがポイントとなります。

 ここでは、対話についての説明でよくなされている整理、つまり 「会話~対話 ~議論」 の三段階と比較しながら、「”共”の三兄弟」 について整理しましょう。
 前者は、「関係性を築く(会話)~目的を共有する(対話)~ 方策を考える(議論)」 の三段階が特にビジネスでは機能しているということです。

 けれども、私たちは、ダイアログを目的共有の手段としたり、議論の前段階とするのは、誤解のリスクがあるので避けたいと思います。
 ゆえに、もう少し原理的に整理し、「前提への共感 (相互理解の関係性を築く段階) ~ 想いの共有 (共通の方向性構築の段階 ~ 新たな共創 (葛藤/矛盾を超える段階)」 と段階化しています。

 これが 「”共”の三兄弟」 の実相です。この三段階それぞれが対話 (ダイアログ) であることに留意してください。
 勿論、第4にアクションへの可能性が続くことは、ビジネスのみならず、あり得ます。

 ファシリテーターとして、ダイアログ・モードを意識し、三段階をどうしくむかを重要課題として残しておきます。


2 対話 (ダイアログ) と 「学習する組織」

(1)ダイアログと学習する組織のディシプリン

 授業後半です。
 ここまでを土台に、『チーム・ダーウィン』 の背景となっているダイアログと学習する組織の概念を確認して、ワークに入りました。

 すなわち、まとめとして整理した3段階+アクションは、『チーム・ダーウィン』 の中の 「個人の未来像~会社の未来像~チームの未来像~今後の実行案」 に対応しています。
 また、それらは、各々が 「自己マスタリー」 「メンタルモデルの克服」 「ビジョン共有」 「チーム学習」 を含んでいることを、(疑似的)事例で理解を共有したのでした。

(2)ワーク1 : 学習する組織の秘訣

<問い>
 動機(モチベーション)が高くなく、勝手な夢しか描けていなかった俄か仕立ての
 バラバラなチームがなぜ学習する組織になり得たのか?


 3グループの検討結果を共有し、特に3グループの共通点を全体で吟味。
 その結果、相互理解 (聴くこと) をしくむ展開の重要性、宮古島合宿の場づくり、目的 (ビジョン) の共有の大切さ、自己マスタリーがうまくビジョン共有に結びつくことの意義、背後で支援するスポンサーの存在などがあげられました。特に、ビジョンの共有が自分事となることの重要性を確認しています。

 そう、こうしたことは決して容易ではない。
けれども、現実にこうした要素が機能しなければ人間は動かないことを確認したわけです。
 そして、私たちは 「これは小説だから可能だったのであって現実には不可能だよね」 では終わらせていない。
→ これが、ここでのふりかえりで、私が最も書きたい事柄です。

(3)リーダー論 (ファシリテーター型リーダー)  略

(4)ワーク2 : ダイアログ・セッション体験

<ミッション>
 拓大ファシリ講座修了生の「ファシリテーターネットワーク」の活性化

  君たちには、ファシリネットを根本から刷新してほしい。
  これがプロジェクトの目的だ。
  具体的なことは、皆さんが皆さん自身で決めてください。

  『チーム・ダーウィン』 の合宿での話し合いのステップにそって、さわりだけでも体験してみようというワーク。

 これをまともにやるなら合宿でもしないと無理ですが ・・・ の前置きでしたが、やってみると本で読むだけでない実体験が面白かったとのこと。
(もっと時間がほしかったという苦情の声もいただきました)

 ふりかえりでは、相互理解の重要性を確認できた、心を開いて話し・聴く体験だった、自分の目的とネットの目的のすり合わせの重要性を実感した、そもそも関わりたくない人がいるのだからそこからの問い直しが必要だと思った、等々。

 特に、最後の、問題の問い直しは重要です。ダイアログではわからないことは批判するのでなく訊くのですが、そこでは往々にして根底の共通項として問題設定そのものを問い直すことが起こります。

 また、面白かったのは、3グループでそうした問い直しで時間をとったグループが2つあり、1グループは爆発したかのように今後の実行案にまで到達していたこと。

 確かに、ダイアログという観点だけで言えば、根底からの問い直しが伴うはずですが、今回のワーク2は、すでにチームビルディングの困難は克服できていたのであり、小説にあったように 「チームがひとつの生き物のように、みんなが協力しあい、一人ひとりの思いがシンクロして、個人の能力では出せないような力を発揮している」(p.206) 状態だったのではないでしょうか。
 そう考えると、このグループのチーム学習は当然 「あり」 ということになります。 (続く)


<参考> 第3講に関連する推薦図書紹介
→ 『学習する組織』 (P.センゲ、英治出版、2011)
   『ダイアローグ』(D.ボーム、英治出版、2007)

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