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2013年6月18日 (火)

小説を使った授業

 先週末、開発教育ファシリテーター講座アドバンストコース第3講が終了した。テーマは 「学習する組織とダイアログ」。アドバンストコースは、通常コースの 「開発教育」 と 「ファシリテーター」 に加えて、「ダイアログ」・ 「学習する組織」・ 「ホールシステム・アプローチ」 を柱としている。今回はその土台となるものだった。

 年間10回の土曜集中講座なので、社会人向けながらも事前に「宿題」なるものを出している。今回のそれは 小説 『チーム・ダーウィン』 (熊平美香、英治出版、2008) を読み込んでおくこと。
 これは 「学習する組織」 をテーマとしたビジネス小説だが、一種の(疑似)事例研究の対象と位置づけている。場面ごとにポイントを整理し、ダイアログの条件を探ること、そのうえで、学習する組織がなぜ成立したかについて 「学習する組織の秘訣○○ヶ条」 を自分なりにまとめておくことが課題だ。

 当然に、「学習する組織とは何か」、「学習する組織におけるディシプリンとは何か」 については予習済みであることを要求している。こうした自学自習を求め得るのは、講座参加者がすでに通常コースで共に学んできた間柄であるから可能なのかもしれない。

 授業内容はこのあと整理するとして、どうやら参加者の多くが二次会で盛り上がった結果、まるで 「チーム・ダーウィン」 のように、夏に合宿を実施するらしい。あらら、早くも 「チーム・ファシリ」 とかなんとかが出来上がるのかしらん? 苦しみさえ楽しみに変えてしまうメンバー揃いだが、授業者としては嬉しい気分だ。(^_^)

 以下、授業内容について、講座ML(メーリングリスト)に書いた 「ふりかえり」 の転記を軸に、したがってややくだけた書き方になるが、ポイントのみを整理しておこう。


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 第3講 「学習する組織とダイアログ」 のテーマは、以下のふたつでした。
1 対話(ダイアログ) とファシリテーター
2 対話(ダイアログ) と 「学習する組織」


1 対話(ダイアログ) とファシリテーター

(1) 対話(ダイアログ) の時代

 はじめに 「対話」 のイメージについて。辞書を引くと 「向かい合って話をすること」 とあります。とても意味が広い。次は英語。会話 conversation と違いを出すとすれば、一般に対話は talk でしょうか? ここまでは会話と区別をつけにくい。そうではなくて、私たちがテーマとしている対話は dialogue です。

 ダイアログについて掘り下げる前に、(副読本としている 『ダイアローグ 対話する組織』 にある記述(pp70-74) をもとに、ダイアログが必要とされる時代背景について考えました。

 要するに、現代は 「大きな物語」 (団結して大量生産に突き進むことが豊かさに結びつくという価値観) を暗黙で共有できる時代ではなく、社員の価値観や信念も多様化し、「上からの命令には疑問を持たず、一糸乱れずまっすぐ進め」 といった古いロジックは通用しない。一人ひとりが、プロジェクトのねらいや製品の存在意義を主体的に考え、参加していくことが必要になっているのであり、私たちに問われるのは、「お互いの理解を共有し合う」力であるということ。
 ここにおいて、「共有」 の ”大切さ” と ”難しさ” に向き合うのが 「対話 dialogue」 です。

 ”大切さ” とは、日常において、人間は客観的事実そのものより意味づけを通じて行動している (社会構成主義) ことを踏まえた生き方につながります。
 ”難しさ” とは、コミュニケーションや情報リテラシーの根底を再考することなしに、人間の関係性 (その一形態である話し合い) は成り立たないことを意味します。
 誤解や無理解がなぜ生じるかということです。
こう考えると、ダイアログは人の心のつながりを築く秘訣と言えるかもしれません。。

 ここで必然的に登場するダイアログは、本来 「ディア・ロゴス(意味を通して)」 という語源を持っています。
 (ダイアログの定義づけは私たちの課題としておきたいのですが) ダイアログとは何かを問うとき、「お互いの理解を共有し合うこと」 に必要なダイアログの要素はさまざまです。
 授業では、「共感~共有~共創」 の 「”共” の三兄弟」 がポイントでした。
それをどのようにしくむかがファシリテーターにとっての関心事になります。 (続く)


<参考> ツイッター(6/16) より
 対話(ダイアログ) による創造的コミュニケーションの基本ステップ : 琴線に触れる相互理解の関係性(共感) → 想いの共有 → 創発・共創(葛藤・矛盾の克服)。「”共” 三兄弟」 の三段階を踏まえよう。(^_^)

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