« 第3回研究会~古典に学ぶファシリテーション | トップページ | ファシリ講座アドバンストコースをめぐって »

2013年2月28日 (木)

右脳で捉える「開発(development)論」

 最近、開発教育の 「開発とは何か」 について酒の肴レベルだが話し合う機会があった。その場では開発の3つの側面が通底する合意となった。一般に考えられがちな物質的技術的側面、それに対してオルタナティブな "development" の語源に関わる側面、人間の関係性につながる 「心の開発(かいほつ)」 の側面である。

 他の教育分野と同様に、開発教育で 「開発とは何か」 の理解は開発教育のビジョンを形成する。開発教育が 「開発」 にこだわるのはこの概念の包括性に匹敵しうる用語が他に見当たらないからではないだろうか。この概念の奥深さがそのまま 「ありたい社会のあり方」 なのである。

 ここでは、直近のツイッターへの12の投稿から開発概念の諸側面をイメージレベルで整理しておこう。


○ 社会の根本テーマはいつの時代も「支配」という問題がある。今日的にはたとえば「格差と従属」。開発教育の 「開発 development」 概念の語源は 「封じ込めからの脱皮 de-envelop」 である。開発のあり方のカギは内発的かつ参加型であることだ。

○ 「封じ込めからの脱皮」 である開発のありたい姿は内発的かつ参加型であるが、内なる力を引出し 「無知(愚癡)からの解放」 を図る教育のありたい姿も内発的かつ参加型だ。こうして、開発と教育は非常に似ていて同義の側面もある。

○ 開発教育の 「開発 development」 とは経済発展と同義ではない。このことは、英語における 「経済成長 economic growth」 との区別からも明らかである。「開発」 は金銭主義に封じ込められるものではない。

○ 誰の内側にも潜む 「煩悩」 ・・・ 開発教育の 「開発」 とは、実は仏教用語(自らの内なる仏性を開きおこす 「かいほつ」)でもある。つまり開発教育は世界のメンタルモデルの要素でもある 「煩悩」 とどう向き合うかを問う側面をもっている。

○ 仏教用語 「開発(かいほつ)」 は内なる仏性を開きおこすことで煩悩を克服しようとするものであるゆえに、開発教育はブータンのGNH(国民総幸福量) と深い関連性を持っていると私は考えている。

○ 資本主義は、貧困・格差、環境破壊、社会的つながり切断等の 「苦」 を伴っている。その原因は仏教の教えでは人間の煩悩。経済成長やシステムの存続に限界が見え始めた資本主義を克服するにはこのメンタルモデルの根本と向き合うことが不可欠ではないだろうか?

○ グラミン銀行のMユヌス氏は資本主義の最大の欠陥は 「人間の本質の誤解」 という。つまり人間は利己的存在であると同時に利他的存在でもある。私の視座で言い換えれば、人間は煩悩に囚われる存在であると同時に内に仏性を有し貪欲を克服しうる存在である。

○ 経済効率性追求はあるべき行為だが行き過ぎると貪欲=煩悩に至る。これからは ”ニューノーマル” の時代とも言われるが、今日の強欲資本主義は 「煩悩金銭主義」 とでも名付けよう。(笑)

○ 経済効率性の市場主義と貪欲な煩悩金銭主義は実は本来相容れない。たとえば煩悩金銭主義の権化でもあるはずの相場は煩悩を克服せぬ者を許容しない。

○ Development education contains a reexamination of the consept of development.

○ Development education is a learning that pursues values that do not center only on material prosperity.

○ What is important is to question the desirable development of economic, social and mind(spirit).


--

 制度派経済学門下の私にとっては、「社会のあり方」(開発のあり方) とは 「制度」 そのものである。人間の思考習慣や社会の文化は、根底で(システム思考における)メンタルモデルとなり、政治・経済・社会の制度を構築している。

 その社会が形成した制度によってその社会のあり方は規定される。途上国経済のあり方、世界的金融危機、地球環境危機などすべて同様である。

 歴史的産物である制度は歴史と共に人びとによって変化する。

 そして、今日の大きな問題の一つは 「グローバリゼーションの制度」 が模索途上であることである。自由に任せておけばうまくいくというのは神話にほかならない。

« 第3回研究会~古典に学ぶファシリテーション | トップページ | ファシリ講座アドバンストコースをめぐって »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/559271/56857161

この記事へのトラックバック一覧です: 右脳で捉える「開発(development)論」:

« 第3回研究会~古典に学ぶファシリテーション | トップページ | ファシリ講座アドバンストコースをめぐって »