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2013年1月27日 (日)

教育ファシリテーション研究会

 拓大IDEC(国際開発教育教育センター) では、2010~11年度2年間の 「開発教育とシステム思考融合の可能性」 に関する研究会の成果を受けて、新しい研究会が立ち上がっている。ここではそのスタート状況についてまとめておこう。

 旧研究会は開発教育でシステム思考による世界認識はいかに可能かをめざすものだった。結果としては、そこから 「学習する組織」 「対話(ダイアログ)」 「ホールシステムアプローチ」 といった概念に辿り着き、どちらかといえば方法論で、新しいファシリテーションのあり方を模索しながら終結している。その成果は研究報告会と研究報告書に結実した。

 それを受けた新研究会は、新たに募集した修了生有志と共に、こうした方法論上の概念を教育に具体化することをねらいとしている。「これからのファシリテーター」 はどのうような存在であることが求められるか、そこでの 「ファシリテーション」 はどのように具体化できるかが主要テーマである。これは某社の支援を得ており、成果は公に出版することを視野に入れている。

 顔合わせの初回(11/10) を受けて、昨年末の第2回(12/12) から本格的に開始した。参加者各自が 「これからのファシリテーター像」 のレポートを持ち寄って、それらを共有しながら話し合いをもった。

 2グループに分かれての話し合いの内容を要約すると以下の通りである。
 視点は「ファシリを歴史的に位置づけてみよう」というものだったが、期せずして、グループAは過去~現在、Bは現在~未来の視点だった。


1 グループA

○日本の教育の現状は、ファシリテーションを発揮する場になっていない。
○政治主導の教育政策、教員先導型の学習指導、等。
○現状では、教え込みとファシリの各パラダイム間に矛盾が存在している。
○過去に、Pフレイレは単なる知識注入の「銀行預金型」教育批判した。
○Iイリイチは「鋳型にはめこむ」教育を批判し「脱学校」を主張した。
○Jデューイは生徒・児童中心主義の新教育運動を展開した。
○いかに(一斉授業の)現状を変えるかが学校教育の大きなテーマだ。
○けれども、一方で、授業は変わりつつあるし、その可能性もあり得る。
○社会的背景(教育に対するニーズ)も違ってきた。
○主体的な授業をする工夫の潜在的欲求は存在する。
○コーチング、カウンセリングの手法や経済学のインセンティブ概念は有効。
○KレヴィンやCロジャースにも学びたい。
○ファシリのサイクルを学び共有したい。
○ファシリの現代の定義づけをしっかりしたい。
○ファシリテーションで行動につながる学びが課題だ。


2 グループB

☆何が起きても受容し、参加者の能力を引き出せることが理想ではないか。
☆「普段使いのファシリテーション」という視点で具体化を試みている。
☆テクニックに頼るよりも大切なものがある。
☆心を打つファシリテーターは居るだけで伝わる。
☆共有できるのは、言葉というより言葉の奥にあるものだ。
☆共感からアイディアを出し合う場をつくる。
☆場を信ずること、場から生成するものを信ずること。
☆場をつくり、もてなし、心の交通整理をするのがファシリテーター。
☆意欲(興味関心)を引きだし、信頼して任せるファシリテーターに。
☆ダイアログの場は沈黙を含んだ静まる場でもある。
☆データの読み込みだけでも生徒のやる気を引き出す授業は創れる。
☆授業では参加型になじまぬ学生に配慮する必要がある。
☆何かを語るだけでも活性化を促すならば意味がある。
☆参加者の思いを出し切ることによってこそ「収束」があるのではないか。
☆目に見えない強迫観念に縛られている教師のカラを破ることだ。


 総合すると、現状を冷静にとらえ、社会の変化を見つめて、新しいファシリのあり方を考え合えたと思う。ただし、チームのビジョン共有にはもう少し時間が必要だろう。

 旧研究会の成果としての方向性 (対話で展開する開発教育→ダイアログ・ファシリテーター&ジェネレイティブ・ファシリテーターの確立) と関連づけることは課題であるが、無理に誘導するつもりはないし、またその必要もないだろう。これまでの概念レベルの成果は、具体化しながらより豊かに拡充していく必要がある。

 なお、私自身のレポートは研究会報告を少し改訂してダイジェスト版を提示した。その内容はホームページにアップ済みである。このレポートは、今後、研究会の成果を私の目で咀嚼して組み入れながら、旧研究会の成果を具体化する土台として改訂していく予定である。

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