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2012年9月 7日 (金)

ブータン海外研修に思うこと

 私が関わっている 「開発教育ファシリテーター講座」(拓大) のMLで、現在盛り上がっている話題は、今夏の現9期生ブータン海外研修報告(もうひとつのタイ研修はもうすぐ帰国)と、1期生のJICAパラグアイ赴任報告である。こうして、1期生から9期生までがMLを通して刺激し合う関係性は貴重であると同時に感慨深くもある。

 後者に関しては、パラグアイへの新たなスタディツアーの企画案まで出ているのだが、ここでは、前者のブータン海外研修をめぐって書いた私の投稿を記録しておきたい。

~~ 以下、微修正して引用 ~~

 皆さま、小貫です。
 今年のブータン海外研修に関連して、盛り上がっているようですね。
私も、ある言葉に刺激を受けたので、思うところを言及させてください。
それは、ブータンの事前研究でもお世話になった○○さんの言葉です。

> 将来のブータンは日本がお手本を示すことでより素晴らしい国になる
> というのが当方の見方です。

 この2行だけでは、私にはよくわからないところがあるのです。
ですから、私の発言は○○さんの言葉に反論するものではありません。
(逆に、補足するものになるかもしれません)
ただ、私にとって刺激的な言葉であることから、思うところを書かせていただきたいと思います。

 私の立ち位置は、アドバンストコースのテキストのひとつと言って良い
斎藤文彦 『国際開発論』(日本評論社) に近いものです。
(この書は○○さんがアドバンスト在籍中に共に学んだものです)

 さて、この書の 「むすび」 の章に 「日本自身の開発経験を途上国支援に生かす」 という節があります。
そこを抜き書きするとこんな内容です。

「 近年の開発研究において日本自身の経験を途上国への支援に生かす視点が強調されている。その際の日本の経験とは多様な内容が含まれる。
 開発を経済成長とほぼ同義と解釈していた時代には、経済成長を促した日本の取り組みが着目された。 ・・・ しかし、社会開発という意味合いで開発が理解されるに及んで、日本における教育制度や、保健衛生の改善、また社会保障制度の定着などが注目されるようになる。
 さらに戦後の生活改善運動が、近年では生計アプローチを先取りする取り組みとして再評価されている」 (p.273)

 日本の経験とはきわめて多様ですが、ブータンとの関わりで日本にあるものとは、経済成長を成し遂げたことより、むしろ、社会開発の充実や「生活改善運動」を先駆とする参加型開発の経験なのではないでしょうか。

 ブータンが我が国から学ぼうとしているのは、そのあたりの経験なのであり、(学術交流に際して)
> 自分で考えることのできる、創造性のある学生を育成したい。
とは、これからの GNH(国民総幸福) にふさわしい経済のあり方、社会のあり方について、未来を創造することを共に模索するという趣旨に思われます。

 これは人間としてのあり方に通じます。日本が見失いつつあるもの (例えば、自然と一体化した感覚、もっと書けば ”インスピレーション” ) などは、何も チベット仏教 を持ち出さずとも、我々の人間性に根差すもの (特にアジア人の心の中に通底するもの) ではないでしょうか。

 私たちは今の日本がともすれば忘れがちになるものに気づいており、だからこそブータンに魅力を感じるわけでしょう。そして、欲望に満ちた人間社会のなれの果てにはある種の絶望感も感じているでしょう。

 けれども本当にそうなのか? 先進諸国は今ある姿を変えようがないのか?
これが今日の人間にとっての根源的な問いだと思います。

 私は、社会のマインドは変わらないというより 変わりつつあると思います。
それは 本来持っているものの発現と考えるのが 「開発 (かいほつ)」 です。
どういう方向に向かうのか (どう変わり得るのか) が、人間にとっての問いであると同時に、開発教育における根源の問いと考えています。
そして、そこにおいて、自分には何ができるのかが人間の生き方の根本とも。。

・ ・ ・ 私もブータンに行きたかった!
そんな思いを抱きながらの投稿でした。
小貫 仁

 

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