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2012年9月 9日 (日)

「座学にとどまらぬ開発教育」 考

 ここ数日、「開発教育ファシリテーター講座」 のMLでは刺激的なやりとりがなされている。ブータンをめぐって、開発現場と教育現場という異なる立場からのやりとりなのだが、かなりの部分で共有するものがあった。そして今、副次的だが、各々の現場のこだわりを語りあう事態になっている。

 もとより、開発現場と教育現場の土俵の違いは明らかだが、反目するものでないことも明らかである。ここでは、互いに連動するものとして捉えることを前提にしている。
 また、開発教育は開発現場の実践性に比べれば、実践のレベルで限界を持つことは確かである。主は、あくまで土台づくりや人間形成である。教育一般としてのさまざまな課題も自覚しなければならない。

 けれども、教育は、だからこそ、より深い次元が求められよう。さらに、開発教育は、「知る」 ~ 「考える」 そして 「行動につながる」 というプロセスを重視する教育として、単なる座学ではない教育をめざしてきた。
 このたびは、開発現場とのやりとりのなかで、こうした視点で考え直すきっかけになったことを感謝したい。

 ゆえに、ここでは、特に 「行動」 という側面に焦点を当てながら、なぜ開発教育が大切なのか? 開発について 「考える」 ことの意義は何か? に絞って、メールに書いたことを補足しながらまとめておこう。

[ 1 ]
 第一に、開発教育は、社会(世界)の現実を 「知る」、その現実について 「考える」、その結果、どのようにして、公正で共に生きることのできる社会(世界)が実現できるかを模索し、(今すぐでなくとも) 「行動」 や 「生き方」 につながる態度形成を重視する。これら3段階は 各々が深く掘り下げる意味を持っている。
 つまり、こうしたプロセスで、社会(世界)の現実に共感したり、疑問を感じたり、自分の生き方と結びつけて考えたり、絶望でなく夢や希望を育むことは、開発教育における重要な人間形成となる。

 近年の教育論から言えば、今日求められる 「知」 とは、断片化されて伝達される 「知」 の次元を超えて、協同的な学びのなかから、新しい 「知」(未来) を創造していくものでなければならない。
 これは、理想論でなく、そうした人材育成なくしては新しい未来を築けないという意味で 「時代の要請」 なのである。今日の 「生きる力」 や 「変化への対応」 という教育理念は今日の時代が求める教育の責務である。
 これによって、知見を獲得するとともに、行動への意思決定と行動への信念を培う 「自己変容」 のプロセスこそが、教育における学びの真髄である。

 そして、「行動」 とは、誰においても、こうした学びを根っこに持つこと、いわば、学びの成果として考えることができる。特に、独創性やイマジネーションなどの創造に関する資質は基礎的な学びの段階から育成されなければならない。


[ 2 ]
 第二に、開発教育は、社会(世界)の 「開発のあり方」 を常に問い続けるのであるが、このことは 「行動のあり方」 についても常に問い続けるのである。
 行動の効果を検証するとともに、行動を根本から内省的に捉え直し続けること ・ ・ ・ これが実践者の主要な行動パターンであることは何事にも当てはまる。
 実は、こうした実践活動も開発教育の 「行動」 の一環なのである。

 さらに、これからの開発教育は、基礎教育であるばかりでなく、未来へ向けた未来志向の 「対話(ダイアログ)」 を推進するさまざまな方法を学ぶ実践教育を必然的に含むであろう。
 これは、「ホールシステム・アプローチ」 とも言われているが、そうした学びは、企業の変革や地域づくり、そして 開発現場での参加型開発等につながっている。

 ここにおいて、開発教育ファシリテーターも、従来の討議(ディスカッション) のファシリテーターから、対話(ダイアログ) のファシリテーター、そして、肝心の対話の場を生成するジェネレイティブ・ファシリテーターへと ”進化” していくことが求められることになる。

--

 以上のように整理した開発教育の思考と行動の学びは、いわば 「座学にとどまらぬ開発教育」 である。

 こうして、開発教育に携わる者は、開発そのものの実現者ではないが、それに連動しうる教育現場の人間として、授業においては、創造性あふれる自由な空間を保障し、「学習する組織」 を形成することを意図しながら、ありたい姿の探求と行動につながる根源的な 「問い」 にこだわることになる。

 私が関わっている 「開発教育ファシリテーター講座」 が、こうした教育観を大切にしながら
、ファシリテーションを手段として、通常コースの基礎からアドバンストコースの応用までの教育課程を用意し、さまざまな場での教育実践者、さまざまな場での開発実践者を育成する 「座学にとどまらぬ学び」 の場をめざしていることは言うまでもない。

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