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2012年6月30日 (土)

「リオ+20」 をめぐって

 今月は「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」 が開催された。残念ながら、多くの失望を伴って終了している。それはどういうことか、ここに整理しよう。

 言うまでもないが、「リオ+20」 という名称は 「国連環境開発会議(地球サミット)」 が行われた1992年から20年後のサミットであることを意味している。
 この 「地球サミット」 は、地球温暖化や生物多様性の喪失などの地球環境問題を ”人類共通の課題” として認識し、国家の枠組みを超えた地球規模の環境対策の方向性を合意したことに大きな意義があった。
 問題は次の点にある。すなわち、一般にこのサミットは経済発展と環境保全の両立をテーマにしたものと捉えられている。けれども、この意味は簡単に捉えきれるものではないということ ・・・ この事実が大きな分岐点である。

 そもそも、”持続可能な開発” とは何かを問うてみよう。この概念については、1987年の 「環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)」 の定義が定説となっている。曰く。
「将来の世代のニーズに応える能力を損なうことなく、現世代のニーズに応えるような開発」

 OECDのサイトによれば、次のような解説がなされている。
「持続可能な開発を目指すとは、経済成長よりも広い意味での真の豊かさや、社会的・経済的公平さを達成し、さらには、環境や天然資源、社会的結束・連帯などの世界的共有物を脅かそうとするものに立ち向かっていくことです。重要なのは、持続を可能とするための主要な要素、つまり、経済政策、社会政策、環境政策をきちんとバランスさせて実施していくことです。」
 ここにおける解釈が、単に、経済成長と環境保全の両立だけでないことは明らかであろう。もし、そうした観点だけで語られるならば、それは短絡あるいは反動というしかない。

 開発教育では、定義における前半部の 「将来世代のニーズに応える」 を ”環境的適正”、後半部の 「現在世代のニーズに応える」 を ”社会的公正” と理念づけることで、OECDの解釈をより明確に整理している。
 要するに、”環境的適正” と ”社会的公正” の理念を欠いた ”持続可能な開発” 概念は短絡あるいは反動なのである。

 さて、こうした予備知識をもって、今回の 「リオ+20」 を検討してみよう。

 私は、6月21日のツイッターにこう書いた。
→ リオ+20の焦点は ”グリーン経済”。2000年の 「ミレニアム開発目標(MDGs)」 と今回の 「持続可能な開発目標(SDGs)」 の比較で、”持続可能な開発” の定義が具体的に共有されることになる。興味深い。」
 実際は、リオ+20は 「持続可能な開発目標(SDGs)」 策定を今後着手するものとして、宣言 「我々が望む未来」 を採択して終了した。
 問題はその内容だが、”グリーン経済” は持続可能な開発を達成するうえで重要な手段であることを確認し、「国連環境計画(UNDP)」 を強化するものとしている。そして、多くの先進国の国民総生産(GNP) の0.7%を開発援助に当てる目標を2015年までに達成すること、環境に配慮した技術を途上国に移転する重要性を強調している。

 ”グリーン経済” は先進国の押しつけだとして反発を招きがちだった。経済面のみならず、環境面や社会面の取り組みに具体的に踏み込んでいないことが影響していると思われる。
 逆に、経済成長と環境保全を両立させようとするのみの ”グリーン成長” という用語が目立った。つまり、短絡あるいは反動の動きが主導権を握っている現実が見えたのだった。現状では、経済面+環境面+社会面にバランスよく対応する真の ”持続可能な開発” 概念は隠れてしまっている。

 大きく後退した・・・私がこう思うのは、短絡あるいは反動のまま世界が動いていく危機意識からである。

 世界は、(雇用の促進は必要だが、経済成長には環境問題等の限界があるという) 経済成長のジレンマを抱えた転換期にある。新しい政治・経済・社会のあり方が問われている。”持続可能な開発” はここで新しい世界を築くためのきわめて重要な概念と解釈することができる。
 1992年 「地球サミット」 を契機にした ”持続可能な開発” の展開を、今こそ再構築しなければならない。それは、国家の枠を超えた地球規模のグリーン化の取り組みでなければならない。そうした取り組みを通して、新しい社会経済システムが構築されていくと考える。
 それは、地球規模の取り組みであると同時に、地域のローカルな取り組みとも連動するものであるだろう。

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