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2012年3月18日 (日)

開発教育と 「対話(ダイアログ)」

 開発教育は 「共に生きることのできる開発のあり方」 を探求する教育である。ここでは、「公正な社会」 や 「持続可能な社会」 とはいかなるものかが問われている。では、「対話(ダイアログ)」 との関わりは何であろうか?

 開発教育では、実は、「開発」 という用語の捉え方ひとつとっても多様である。「開発」 について、絶対的に揺るぎない ”意味” は存在しない。開発教育では、協同的な学びのプロセスで、それ自体の ”意味” が明らかになるのである。これは、まさに社会構成主義の学びそのものである。

 ゆえに、「開発とは?」 という問いが、開発教育の最初にして最後の問いとなる。実は、ここにも絶対的な解はない。協同的に学び合うなかで、「(望ましい) 開発のあり方」 を探求していくことが重要なのである。

 だからといって、相対主義に陥っているのではないことは強調されるべきだろう。「公正で共に生きることのできる持続可能な社会」 とは何かをめぐって、ほんとうの解を探し求めていくプロセスそのものが学びなのである。学習者は、自分との関係性や、他者との関係性すなわち 「学びの共同体」 のなかで共に学び合い、ひとつの価値判断を選び取るのである。

 もはや、なぜ 「対話(ダイアログ)」 なのかはほぼ自明であろう。

 学習者は、客観的事実を 「知る」 段階で、それらの知識に対して何らかの ”意味” づけをして理解している。そこには、しばしば解釈の食い違いが生じることを覚悟しなければならない。したがって、学び合いのプロセスで物事の ”意味” づけを深めていくには 「深いコミュニケーション」 を通して相互に理解し合うことが必要である。この 「深いコミュニケーション」 が 「対話(ダイアログ)」 に他ならない。

 人間は他者とのコミュニケーションを通して学び合い(”意味” を構築し)、世界を理解する。そして、更に学びを深めていくことができる。これが、開発教育における 「学びの共同体」 の学びのプロセス (「知る」 段階から 「考える」 段階) である。

 さて、「考える」 段階では、学習者の考え方の対立もありうる。実は、「対話(ダイアログ)」  はこの対立の克服にきわめて有効である。

 アメリカの心理学者 K.ガーゲンは、新たな変化につながる 「対話(ダイアログ)」 の可能性について、対立に関する 「問題解決ワークショップ」 の例を紹介している。

 このワークショップでは、できる限りお互いを非難したり極端に批判したりせず、また、今の経験について語ることでお互いの立場を理解するよう求められた。何より重要なのは、「望ましい未来像を共有するために努力する」 よう求められたことであった。

 ここでは、心を開いて ”聴き”、心を開いて ”語る” という 「対話(ダイアログ)」 の真髄がよく表れている。互いの前提を理解し合い、共通の 「大義」 を見出そうとする試みによって、対立が双方の納得で終わるような解決策につながったという。

 これは、既に、開発教育のプロセスの 「行動する」 段階でもある。そして、行動が、実際は 「態度変容」 にとどまったとしても、この変容のプロセスこそが、学習者にとっての 「学び」 と考えられよう。

 こうして考えると、「対話(ダイアログ)」 においては、問題解決もさることながら、それ以前に、何がほんとうの問題なのか? あるいは何がほんとうに大切なのか? の根本に向き合うことが重要となる。開発教育では、この (深い)「気づき」 を特に重視していることを強調しなければならない。

 こうして、「開発」 を問う教育であること自体が社会構成主義に関係する開発教育は、「対話(ダイアログ)」 を通して世界を理解し(構築し)、共に学び合うことを通して 「(望ましい) 開発のあり方」 を探求する教育である。

 根本的な 「気づき」 をねらいとしていることは、開発教育が既に 「対話(ダイアログ)」 で展開する学びを展開していることと同義ではない。しかし、きわめて親和性が高いことは確認できた。「対話(ダイアログ)」 の実践にはまだまだ研究の余地がある。開発教育のきわめて重要な課題である。

 

 

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