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2011年12月 8日 (木)

参加とは?(参加型開発からの学び)

 開発教育ファシリテーター講座に向井一朗氏(JICA/桜美林大学)をお迎えした。お題は 「国際開発現場におけるファシリテーション」。「参加型開発」 におけるさまざまな内実と課題をアクティビティを交えて提起していただいた。

 実は、私個人は、今月から始めたツイッター上で 「教育とビジネスの融合」 についてツイートしている。→ http://twitter.com/jinonuki

 そもそも、本講座は、開発教育のファシリテーションに関して、ファシリテーションとは?の原理からそのスキルに至るまで、多くをビジネスから学び、それを 「教育ファシリテーション」 として開発教育に適用してきた。そして今、相互の学び合いとして、教育からビジネスへの提言を考察している。例えば、教育心理学の 「内発的動機づけ」 然り、授業論の 「参加型学習」 の可能性然りである。

  そんなわけで、今回私は 「参加型学習はいかに可能か?」 に結びつけて聞いた。したがって、ここでは 「参加型開発」 と参加型学習のつながりを意識しながらまとめる。まさに、参加型学習の原点が、開発教育の 「参加型開発」 にあるということである。

 向井氏は、1990年代のセネガルでの経験をもとに、「してあげる」 援助では効果がなかったことから語り始めた。一方通行の「教え込み授業」では生徒の学びにならないと私には聞こえた。

 重要なのは Ownership (所有者意識)なのだという発想から 「参加型開発」 が生まれる。けれども、それは決して容易なものではなかった。

 そもそも参加には参加度に段階(参加のはしご)がある。参加といっても 「参加させる」 事例はさまざまに現われた。参加の名を借りつつも、それらは望まないものの ”押しつけ” であった。教育に照らせば、リアリティ(現実性)はあっても、アクティアリティ(自分との関係性)が欠如している問題である。

 プロジェクトには、計画(Plan)~実行(Do)~評価(See) のプロセスがある。実行に 「参加させる」 ことが本当の参加にならないとすれば、もう一歩進めて、計画段階からの参加が重要となった。コミュニティの人たちが、自ら問題に気づき、考え、行動することが重要とされた。

 そこから、PRA(主体的参加型農村調査)などの手法が生まれた。Ownership から  Stakeholder(主体者)への脱皮である。住民は、実践を通して、Em-powermant つまり力をつけることで、すべてのプロセスに対する Stakeholder となる可能性がうまれた。

  このあたり、私は、アクティアリティをどう保障するか?から発して、教育心理学での 「内発的動機づけ」 の重要性、さらに、評価に関して、ポートフォリオや自己評価などの可能性を思い描きながら聞いていた。

 しかし、向井氏は根源的な課題を提起する。まず、問題は誰にとってのものか?ということである。ここには、コミュニティの権力構造が立ちふさがる。それをシミュレートするアクティビティのあと、「参加のあるべき姿とは? そのためのファシリテーターの役割は?」 というのが向井氏の問いであった。

 このあたりの深刻さは、私たちの教育現場以上の切実さがある。けれども、誰もが参加できる 「場づくり」 に関して、実は教育においても配慮すべき事柄は多々あると言わねばならない。

 さらに、向井氏は、『対象』 として見ることの危険性や 『対等』 な関係性とはどういうことか?を問題にする。ここでは、外部者ではなく内部者の目線が必要である。つまり、生徒の目線だ(生徒の主体性)。同時に、ファシリテーターは 「風の人」 でもある。内在的な外部者の視点である(教師の主体性)。

 ここにおいて重要なのは 「日常的な事実を聞いていくこと」 だと、中田豊一氏の言葉を引用して締めくくった。リアルな日常の ”意識化” こそが学びの源泉だ、と私も思う。

 向井氏は、国際開発現場の実践者として、そもそも、本当に 『問題』 はあるのだろうか? という根源的な問いを語る。北の価値観で 『問題』 を認識しているだけではないのか? という疑念は 「参加型開発」 に取り組みつつも付きまとう。『問題』 がなければ援助ビジネスが成立しないことに伴う矛盾だ。

 教育でも、その問いは根源にある。『問題』 は教師の思い込みにすぎないのかもしれない。誰にとっての 『問題』 かは 教育においても問い続けなければならない課題なのである。むしろ、「あなたの『夢』は何ですか?」 から始めるという ネパールのファシリテーター/カマル・フィヤル氏の手法の方が、学びを築く本当の問いかもしれないと私には思えた。

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