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2011年10月10日 (月)

協働コーディネーター養成講座2011

  2日間にわたって 「協働コーディネーター、ファシリテーター養成講座」 を実施した。講座はファシリテーション能力を兼ね備えたコーディネーター養成を意図している。講師は世古一穂氏 (NPO研修・情報センター代表)。大学生対象(拓殖大学の学内資格講座の一環) であるが、筆者にとっても興味深い内容の一部を紹介する。

 2日間の各テーマを概観すると、1日目が 「参加型協働社会に向けてのパラダイムシフト」、2日目が 「真の参加協働型社会を拓く職能」 ということになるだろう。

 大学生向けの講座であるから、「日本の社会構造」 の理論から情報処理に関するスキル (課題抽出法、情報リテラシー、情報整理法など) およびコーディネーターの職能の整理まで内容は多岐に及んでいる。ここでは、テーマとなっている2点について。

(1) 参加協働社会と 「新しい公共」

 「新しい公共」 とは何か? この理解が講座の土台である。「古い公共」 は行政セクターに関連するが、「新しい公共」 とは従来行政セクターが担ってきた公共領域を市民セクターと役割分担して担い合うことを意味する。

 日本社会の現実は、第一セクター(行政) (および第二セクター(企業)) に資源、人、モノ、カネ、情報が偏り、第三セクター(市民) が協働する社会になっていない。むしろ、行政主導の 「外郭団体」 を ”三セク” としているのが実態である。構造的に 「新しい公共」 が実現していない。

 だからこそ、参加と協働のデザインでは、「新しい公共」 を作りだすパートナーシップが不可欠である。このことは、「地方分権」 に倣えば、「市民分権」 へのパラダイムシフトと言える。パートナーシップをつなぐ担い手が協働コーディネーターである。

 世古氏は、国内外の課題を幅広くカバーし、社会に変化を促すためのメディアのあり方にも言及し、”調査報道NPO” を語っていた。これは 「新しい公共」 へ向けてのマスメディアとNPOの協働を意味していて興味深い。(詳しくは、世古一穂・土田修共著 『マスメディア再生への戦略』 )

(2) 事例研究 : コミュニティ・レストラン

 地域における協働コーディネートの展開事例に、世古氏の推進する 「コミュニティ・レストラン プロジェクト」 がある。いわば ”市民の食卓” で、地産地消を進め、健康づくりを応援し、地域に場を提供し、誰もが利用できる、循環型社会づくりを実践している。もう全国に100を数えるという。(私も、東京学芸大学で教えていた頃は、国分寺の玄米食堂 「でめてる」 に通っていた)

 特に、顕著な事例としては、青森 「浅めし食堂」 がある。地域食イベントの日常化の発想から始まり、高齢家庭への弁当配達、隣接する医院と連携した栄養食の提供、食育の提供、地産地消の農園経営、さらに 浅虫温泉の立地を活かした ”ヘルスツーリズム” 事業など、地域に密着したアイディアゆたかな展開が印象深い。

 学生は、地域コーディネーターの役割として、地域の人・物を活かすこと、地域の場を活かすこと、地域のつながりを作り出すこと、などを受け止めていた。

・・・

 学生にとっては、情報整理や課題抽出などの実際的スキルも勉強になったろうが、それにも増して大切なのは、あとあとまで心に残る理念と現実の具体的事例だろう。

 私も含めて、充分に刺激的な講座であった。

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