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2011年7月10日 (日)

第3回開発教育システム思考研究会2011

第3回研究会は、「学習する組織」 とシステム思考のループ図作成~循環認識に関して、新たな側面を検討した。ここでは、その内容と、今後の研究の枠組み(見通し)について整理しよう。

1)前回のふりかえりから

研究会は、これまで、「システム思考」 を 開発教育 に応用することの意義と可能性を展望し、そのための基礎研究を進めてきた。そのポイントは、次の3点であった。

①事象を循環するものとして認識する ものの見方・考え方の重要性

②全体を俯瞰して見い出す対策(レバレッジポイント)の有効性

③「学習する組織」 の諸原則 (「自己マスタリー」「メンタルモデルの克服」「共有ビジョン」「チーム学習」) の教育的意義

けれども同時に、「学習する組織」に関しては、ビジネスにおけるそれを教育に応用することの困難性も語ってきた。

その困難性は、特に、教育において 「たとえ リアリティ(現実性) を出せても、アクチュアリティ(自分と学習対象の関係性) は欠如しがち」 という問題 (学習者の意欲・関心を引き出す問題) に関連している。

今回、話題となったのは、「学習する組織 Leaning Organization」 の意味合いだった。

ここでの 「学習 Learning」 とは、要約すれば、時代の変化に対応して組織を変革すること (組織員が能力を活かして発展し続けること) を意味している。

センゲの ”Schools That Learn” によれば、「学習する学校」 は教育のあり方の変革を意図している。機械論的パラダイムから、システム思考パラダイムへの変革である。「学習する教室」 なら、単に知識を受け取り分析する学習ではなく、知識から思考を創造する学びを展開する教室である。

研究会にとって、こうした学習観の転換は重要な基礎である。そのうえで、私たちはもう一歩、地球市民を育む教育内容に踏み込んでいる。たとえば、「学習する教室」 という場合、文字通り、(開発教育に) 真摯に取り組むことのできる ”学びの共同体” づくりを考えている。そのための 「自己マスタリー」 であり、「メンタルモデルの克服」 であり、「共有ビジョン」 であり、「チーム学習」 なのである。これはいかにして可能だろうか?

2)メンバーの研究テーマと今後の研究会の枠組み

メンバーの研究テーマ(仮)がほぼ出揃った。

アウトプット(冊子作成)では、「実用に供する」 ことを考慮する。

次回は、各自がテーマの具体化を進め、1人10分程度で青写真を説明する。

そこから、その後の研究対象を明らかにしていく。

3)事例研究: 「電力不足の構造」 分析

東京新聞社説 「夏の節電、見逃せぬ東電の不誠実」 を読み込んでキーワードを抜き出し、そのキーワードで循環ループ図を作成した。10ほどのキーワードで検討した。

基本として、「経済活動」 と 「原子力発電」 がループしている。

(ただし、原子力発電は、全エネルギー消費のせいぜい10%であり、原子力発電が主流エネルギーである化石燃料の代わりにはなりえていないから不正確)

これに、「東日本大震災」 を外部要因として、「原発事故」→「電力供給(減)」(→「節電キャンペーン」) が絡んでいる。

より複雑なループ図との詳細な比較はできなかったが、シンプルな因果関係の把握だけでも、循環認識と根本的な問題を検討することはできる。

今回の場合、根本問題は、「東日本大震災」だろうか?(→地震・津波に耐える安全追求へ)、「原子力発電」だろうか?(→再生可能エネルギーへ)、「(大量生産大量消費)経済活動」だろうか?(→脱成長至上主義の経済へ)

全体の中で問題の所在を発見したら、そこからレバレッジポイントを見い出すには、もう少し詳細な循環システム(ループ図) の検討が必要になるだろう。

けれども、システム思考の学びは、学習者の発達段階を考慮する必要がある。ループ図理解や作成力は学習者の発達段階に左右されよう。各発達段階で、最大限に深める学習が問われることになるだろう。

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