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2011年6月18日 (土)

第2回開発教育システム思考研究会2011

第2回研究会は、(今年度からの) 新メンバーとの 「問題意識」 の共有が進んだ。そればかりでなく、そこからさらに深めるべき 「課題」 を検討することができた。その内容について、概要を整理しておこう。

研究会の議題は、(1) 前回のふりかえり、(2) メンバー各自のテーマ確認、(3) 事例研究:”電力不足” の構造分析、であった。

(1)システム思考の 「3つのポイント」 をめぐって

前回のふりかえりのポイント は、①全体をつながりでとらえてループ化するものの見方・考え方の有効性、②全体を俯瞰して効果的な対策(=レバレッジポイント) を見いだす方法の有効性、③「学習する組織」 を学校教育(=開発教育)に適用することの教育的意義、である。(もちろん、これらは、学校教育を軸にしつつも、どのような場にも共通する)

ここでの 「レバレッジポイント」 は、テコの原理が働く要素で、それが 「効果的な対策」 となり得るポイント。そして、テーマ設定は、外部要因を見据えた上で、解決可能な内なる問題を対象とする。

もっとも困難なのは、課題に向き合う動機の源泉を最初から持っている(はずの)ビジネス組織と違って、学校組織では、学習者はその源泉を持たないまま参加していることである。これは、教育そのものの困難と言わねばならない。(実は、ビジネスにおいても、単なる利潤動機以上の源泉=自己マスタリーをどこまで持ち得るかが問われる)

そもそも、開発教育の「学びの動機(源泉)」 とは? 学ぶことの意味とは? そして、どのようにして、それらの会得は可能だろうか?

もともと、開発教育は、社会の 「あるべき姿」 を明示することは避けてきた。あくまで、学習者の主体的な思考・判断が重要なのであり、開発教育はその学びを支援する教育である。そこでは、「共に生きることのできる公正な社会づくり」 という文言に示されるような、「共生」 「公正」 というコンセプトはあるが、その具体的な内容自体は、学習者の主体的な選択に委ねられている。かくて、「学びの動機(源泉)」 が常に問われ続ける。

「学習する組織」 の大枠を、「学習者の意欲・関心を引き出し、学習者が先入観を克服して、”社会のあるべき姿” を判断し共有しながら行うグループの協働学習のあり方」 ととらえるとして、ここでの 「学習者の意欲・関心を引き出す」 ことが、学びの動機の源泉(自己マスタリー)ひいては人間のあり方につながるか否かが大きな課題となっている。

ここでは、また、当事者性が問われる。開発教育は、問題が自分との関係を実感しにくい遠い世界の出来事でも、参加型学習で、つながりの認識とそこでの 「共感」 を重視してきた。そして、もう一方で、問題を 「自分の問題」 としてとらえ、身近な 「地域の問題」にリアリティを伴って取り組むことを重視している。ここで、学校教育においては、もっと身近な 「自分たちの問題」 への取り組みも問われるのではないか。たとえば、身の回りの 「いじめ問題」 などを意識化して取り組む学びなどがその後の重要な基礎となるであろう。

ファシリテーターとしての教師は、そうした 「場づくり」 の力量が問われる。私たちは、「何を、なぜ学ぶのか?」 を問い続けなければならない。それが、システム思考のものの見方・考え方の習得、「学習する組織」 をめざす営みの前提である。教師が、学生に 「私に何をしてほしいですか」 と問いかけた事例、「まず皆さんがやりたいテーマを決めてください」 と問いかけた事例 等、さまざまな 「場づくり」 の方法を共有していくことも課題となる。

(2) 略

(3) ”電力不足” の事態の構造をめぐって

東日本大震災による原発事故の影響で、この夏のピーク時には ”電力不足” になると言われている。この事態をどうとらえるか?

ここでは、因果関係ループ図で ”見える化” することが主な作業となった。まず、ループ図作成法を確認。①素材となるコンテンツをもとに要素を抽出する、②(内部要因と外部要因の区別に留意しながら)要素を絞り込む、③(サークルの外部に書いた)要素間のつながりを見つける、④(強化ループかバランスループに留意しながら)因果関係ループ図を作成する、という手順である。

その際、中高生を対象にしたループ図作成であること、ゆえに、新聞記事を素材にすること、構造をシンプルにつかめるよう工夫すること、を確認した。ループ図をできるだけシンプルに図解することで、すっきりと頭を整理できるものでなければならない。

「シンプル is ベスト」 をモットーとして、そのねらいでどこまで図解できるか? そのためには、メインのループは何かが明瞭でなければならない。今回の場合、それは 「電気消費量」 と 「原発事故」 のループをメインサイクルとする案が示された。そこに、必要不可欠な要素(内部要素と外部要素) をどのようにつけ加えて、構造を ”見える化” するか?

その最終整理は、次回に持ち越された。

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