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2011年5月 6日 (金)

日本のエネルギーについて

悲惨な人災となった原発事故をきっかけにエネルギー論議が盛んである。この事故がなかったならば、私は私なりの考えを深めることはなかった。そうした反省はある。それは私だけではないと思うが、それゆえに、だからこそ私たちは、この機会に現実から多くを学ばなければならない。

「原発はフェードアウト」 ・・・ このことに基本的に同意する意見は多いだろう。けれども、ちゃんと 「フェードアウト」 できるのか否かが問われる。原発推進論でも同じことを語れるからだ。原発は必要、あるいは ”つなぎ” だと。問題はその ”つなぎ” はいつまでなのかということ。依然として、原発性能の向上、安全確保等に莫大な開発費が注ぎ込まれ続ける。そして、いつか (私たちの子どもたち、あるいはもっと先だろうが)、”想定” を超える自然の脅威が、今回のフクシマ事故を再現、あるいはそれ以上の事故をもたらすことになる。その可能性を否定できない。

そこで、まず、日本の再生可能エネルギーの可能性について整理しよう。日本が原発に頼りすぎて、代替エネルギー開発に本気で取り組んできたとは言えないこと、技術はあるのに、その優位性を活かしてきたとは言えないことの転換(シフト)を願ってのものである。アースポリシー研究所(米)と環境省のデータをもとに整理する。

「平成22年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査の結果について」(環境省):http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=13696

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日本は、原子力の燃料に用いるウランを100%輸入に頼っている。石油もほぼ100%輸入。そして、石炭と天然ガスの世界一の輸入国でもある。ゆえに、日本のエネルギーは、安全保障からも環境や安全性の面からも、非常に不安定な状況にある。

将来的に、日本で可能性のあるエネルギー総量を試算すると、

○最大量の風力発電では、約500~2900億kwhで、原発7~40基分に相当する。(現在の日本の原発は54基)

○風力発電に、太陽光発電、中小水力発電、地熱発電、バイオマス発電を上手に組み合わせることで、長期的には原子力発電がなくとも日本全体でエネルギー供給がまかなえる。

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こうした試算が政府から出されている。日本は膨大な風力エネルギーの潜在力を持っており、地熱が世界で最大級に豊富な国でもあるのに、残念ながら、太陽光発電にはそれなりに力を入れてきたものの、風力や地熱への開発支援は怠ってきた。(その分の開発支援は原子力発電の開発支援の方に回されてきた)

日本は、風力、太陽光、地熱などに全面的に取り組むようシフトすることで、すべての原子力発電所および化石燃料に置き代えるエネルギー国家に生まれ変わることができる。

私個人は、この実現を 「日本の自立と安定・安全」 にとって望ましい=”あるべき姿” と思うのだが、国民的判断でも、その可能性が担保されていることが重要と思う。「なんだかんだ言っても原発は必要」 という思い込みの対極である。

エネルギー転換が課題となるのは、別にドイツばかりの話ではない。放射性廃棄物処分の問題、持続不可能な原料に頼ることの不合理とコストの問題 ・・・ 等々がエネルギー転換を世界的に進める要因であることは言うまでもない。まして、世界有数の地震&津波国家・日本では、原子力発電はドイツ以上に無理がある。

再生可能エネルギーにもさまざまな課題はあるが、電力会社が強力なスポンサーであるマスメディアは、冷静に判断する世論形成に寄与する覇気はあるだろうか?

加えて、原発から再生可能エネルギーへシフトする過渡期では、まず、電力消費削減のしくみ作りが重要となる。

田中優氏の講演にこんな内容があった。

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夏場のピークをいかに下げるかが重要なポイントである。なぜなら、電力(原子力発電)供給は、このピークに対応しているから。(合間の無駄をなくすために余った電力をどんどん使うことを奨励するしくみでもある)

ただし、使えば使うほど高くなる家庭の電力料金ではなく、使えば使うほど安くなる企業向け料金システムがネックとなっている。せめて、夏場のピーク条件(たとえば、気温30度など)では、割高料金になるしくみがあれば、夏場のピークを下げるのに有効だろう。こうしたことは、欧米でもさまざまに工夫されている。

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これが電力を ”浪費する” メカニズムでもある。

私は信ずる。日本の電力の無駄をうみだすシステムは、「もったいない文化」 が本来であるはずの日本の真の姿ではない ・・・ と。

原子力による無限の発電能力によって、「もったいない」 という言葉を ”死語” にするほどに繁栄ボケ(欲ボケ) してはならないのではないだろうか ・・・。この問いは 「科学技術と人間のあり方」 の深淵に関わる。

「原発はフェードアウト」 という言葉の裏には、こうした問いが含まれている。この問いに対する私たちの心の底からの答えが、早急の課題として求められている。

主旨をまとめよう。

これからは、発電方法のメリット・デメリットが、公正に判断されて、日本のエネルギー政策につながることが重要である。

そこにおいて、原発開発の魅力はあらゆる意味でとてつもなく大きい(いつでも原爆をつくる能力を保持していたいという思惑も含めて)。純粋には、新しいテクノロジーで安全な原発をうみだし、科学の力を享受することの魅力である。これは現在のマインド構造の延長上にある。逆に、変化は、その ”メンタル・モデル” 転換と新しい社会創造の覚悟を伴う。

私は、日本の転換点にあって、この構造に向き合いながら、冷静な国民的判断に参加してゆきたい。このことは、未来に向けての新しい挑戦を模索する営みとなるだろう。

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