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2011年3月 3日 (木)

開発教育研究フォーラム報告

「開発教育研究フォーラム2011」 が終了しました。7期を数える 「開発教育ファシリテーター養成講座」 の期を超えた研修と報告と交流の場ですが、各期の万遍なき参加がイベントを盛り上げてくれました。今年のテーマは 「学習する組織と開発教育」。ここでは、その概要を報告しましょう。

メインは基調講演とそれに関するワークショップです。

ゲスト講師にお呼びしたのは日本教育大学院大学学長・熊平美香先生。演題は 『学習する組織とは何か』 です。

「学習する組織」 を定義しておけば、「チームが最良の未来を実現するために、能力と気づきの状態を高め続ける組織」 です。基調講演では、”メンタルモデル”、”チーム学習””パーソナルマスタリー””共有ビジョン””システム思考” という 「学習する組織」 の5つの原則を丁寧に解説していただきました。(それらの基礎知識は2月12日記事)

私の視点で、2点のポイントを整理しておきましょう。

(1)「学習する組織」 の哲学:

ここにおける ”学習” とは、望ましい結果を得る能力の開発ということ。「己は何者でどこに向かうのか」 ・・・ 「学習する組織」 は、このことが人間が生きる上での根源的な問いであることを踏まえて、何が重要なのかを明らかにし、望ましい姿を求めて生きる自発的なあり方、あるべき姿とのギャップに立ち向かう主体的意欲を重視する。

同時に、人間は心に固定化されたイメージや概念(メンタル・モデル)に縛られる存在でもあるから、その克服が問われる。活性化した 「学習する組織」 においては、こうした人材がビジョンを共有し、チームとして機能することが重要である。

(2)「学習する組織」 の教育論

今日の教育は、相変わらず 「正解を求める」 ことで教師も生徒も ”学習” としている傾向から抜け出せていない。認知理解に関するブルーム理論によれば、学習には6段階あるが、そのうちの 「知識」 ~ 「理解」 という最初の2段階にとどまっているのが現状ではないか。次の4段階(応用~分析~統合~評価) つまり実践して評価する学びが求められる。

「何が問題なのか」 そして 「何を目的にするのか」 が重要である。「学習する組織」 では、”ビジョン” の共有がいかに実現しているかが実践的なカギである。

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開発教育は、こうした哲学に共感できますし、この現状認識を共有しながら、 「知る~考える~行動する」 を学びのプロセスとして実践してきました。けれども、その学びで 、どう 「認識」 し、どう 「行動」 するのかには再検討が必要と考えています。それが、フォーラムで報告した 「システム思考研究会」 の検討課題 (キーワードは 「構造」 と 「レバレッジポイント」) なのでした・・・。

さて、基調講演を受けてのワークショップでは、「学習する組織」 に具体的に必要なものは何か?、自分の属する組織は 「学習する組織」 になり得ているか?、どうしたら 「学習する組織」 になれるか?、最終的には、開発教育の実践にどう適用できるか?、をテーマにさまざまに意見を出し合いました。

各グループの発表で多く出された案は、当事者意識を持てるための場づくり、学校教育での意識形成、新しいしくみ、新しいリーダー、コミュニケーションの重要性など。

熊平先生のコメントで印象的だったのは、「相互理解が難しいから前に進まない」 と感じる場合、それは克服すべき ”メンタル・モデル” ということになる。それには、理解してもらえないというより、こちらが相手を理解していないことを自覚すべきで、ゆえに、どう説明すれば理解しあえるかを常に意識すべし、というアドバイスでした。

開発教育の実践への適用に関しては、時間的に十分意見交換することができず、課題として残されました。けれども、今回グループで検討した内容を教育現場に適用していくことは、もう手の届くところにあると思われます。そして、教育現場で練られた実践的方法論が、今度はビジネスに返され、主体的組織形成の具体化に寄与することでしょう。

どのようにして、人間のもつ ”パーソナルマスタリー” を引き出し、伸ばせるか、”メンタル・モデル” をゆさぶり、克服できるか、あるべき姿たる ”ビジョン” への志をもち、共有できるか、グループが ”チーム” として協働していけるか ・・・ よりゆたかな開発教育の実践に向けて、「学習する組織を大切にする開発教育の創造」 が問われていると考えています。

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