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2011年2月17日 (木)

学校ESD実践をめぐって

友人の小学校教諭K氏に、昨年のゲスト講義のリアクションペーパーとEDS (持続可能な開発のための教育) カリキュラムセミナーの資料を郵送したところ、この冬の環境教育学会関東支部発表原稿を送っていただきました。それに啓発されて考えたことをまとめておきます。

テーマは、学校でのESDを総合的な学習の時間に授業化する際の課題です。

論文は、ESDと総合的な学習は 「能力・態度」 育成面で重なるものがあるが、背景とする社会観、育成すべき思考力の内容、価値観育成への志向性が異なっていることを示し、この現実を考慮するとき、総合的な学習はどのように取り組めばESD実践と言えるのか、についての考察です。

本論は、総合的な学習が背景とする社会観を 「知識・情報・技術等の知識産業が産業構造の基軸をなすポスト工業社会」 とし、それに適応するための基礎・基本の知識習得、その活用としての思考・判断、主体的な探求能力を重要な教育課題と見据えます。けれども、これらはあくまで 「知識基盤社会」 に”生きる力”であって、ESDの 「持続可能性」 の価値観にはつながっていません。そこで求める思考力も、PISAの調査に対応することを優先するばかりに、課題解決のためのコミュニケーション能力やつながりを尊重する態度などの能力を重視しているとは言えません。

したがって、ESDの実践には配慮が必要であり、特に、子どもの学習権の考慮と、子どもにとっての持続可能性とは何かの考慮が重要であることを提起しています。本論は 「能力・態度」 育成の観点からの分析ですが、私はこうした問題意識を心底から共有できました。

さて、K氏は、DEAR 開発教育協会での 「ESD研究会」 の仲間です。

昨年末のセミナーでは、国際理解教育学会の藤原氏、ユネスコ関係者の永田氏と私でパネルディスカッションをしたのですが、そこでの3者の高次の接点は、「オルタナティブな課題解決学習」、「オルタナティブな地域学習」、「オルタナティブな経済開発」 への志向性にあったというのが私の(研究会の)学び(宿題) です。

こうした諸課題を手掛ける実践的基礎理論は、この論文にあると感じました。

「人権」を基礎とし、「望ましい未来の創造」を志向するものとして、DE (開発教育) とESDは一致します。現在の研究会は既刊書(『開発教育で実践するESDカリキュラム』)で一段落していますが、その総括としてのセミナーでの 「宿題」 を抱えたまま道半ばです。対立を止揚できる「望ましい未来の創造」 のコンセプトを具体化する課題を残しています。

また、こうした理念がシステム思考と重なることの考察が私の個人的テーマです。

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