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2010年12月22日 (水)

地域学習をESDに

人権教育の授業のひとコマで、「ESDと人権」 を扱いました。新学習指導要領に書き込まれた ”持続可能な社会形成” とは、ESDの理念に基づくものであること。”持続可能性” とは 「環境だけでなく、貧困、人権、平和、民主主義などを含む総合的な規範概念」 であること。こうした理解が考察の前提です。

持続可能な社会形成のためには、”環境・社会・経済の調和” が問われます。ESDでは、活力ある公正な社会の形成者を育てるための未来学習や学習者のスキルアップが重要です。

実践の場としては、”総合的な学習の時間” だけでなく、学校教育の教科活動全体を通して取り組むことが求められます。そして、その学びは、遠い世界の学習より、身の周りからの学習が問われています。

では、小学校の 「地域学習」 でESDは可能だろうか? ・・・ これが学生に投げかけた ”問い” でした。

実際の 「地域学習」 もそれぞれの実践がなされていますが、ESDとの関わりやESDへの可能性を考察してみました。以下は、教職志望の学生の書いた リアクションペーパーからの抜粋です。

◆「ESDが地域学習とつながって行われることについてですが、いきなり世界レベルで物事を考えるのでなく、地域の身近な物事を捉え、そこから考え、発展させていくこと・・・こちらの方が子どもたちにとって理解しやすいと思いました」

◆「最初、ESDが人権教育とどのように関係があるのかわからなかった。授業が進むにつれて、次第にわかってきた。”開発” というものは一部の人に利益があるように行われてはならず、それが行われる際には必ず人権が守られられなければならない。人権を侵すことがなような開発を行うための教育がESDなのである。現状の地域学習が身近な課題を考えるだけで終始しているのに対し、ESDは身近な課題から始め世界の課題にまで考えを深めていく点にあると思う」

◆「身近な問題から考え、視野を世界に広げるという学習は、学びとしてすぐれていると思う。僕が小学生だったころの地域学習は調べて終わりというものだった。今思えば、そこから視野を広げられれば、世界の同じような問題が見えたはずだ。日常の問題から世界とつながることは、人権を考えるきっかけとなるし、子供にとっても取り組みやすい方法であるだろう」

◆「自分が経験した地域学習は、地域の商店街に行き、店の人に、いつ商品を取り寄せるのかを聞いたりすることであった。今思うと、質問内容が問題で、大型スーパーに対して、どのような工夫をしているかなど、その後につながる成果を上げることができなかった。地域の学習をする場合に、しっかりとした問題意識を持たなければ、地域の中で完結してしまい、世界にはつながらない」

◆「小学校の頃、”町のゴミを減らすには” ”地域がもっと活性化するには” と様々な問題を取り上げ、クラスで考えることを行っていた。ただし、地域学習では、そのプロセスで ”ゴミ拾い” ”あいさつ運動” など定式化したものにとどまっていた。ESDは解決することを目的にするのではないか」

◆「地域の歴史や文化について学んだり調べたことはありますが、その学習はそこで終わりでした。ESDなら、そこから諸外国との比較をしたり、自分の地域のことについて発信していくのではないでしょうか。ESDには、世界とつながり、参加をしていく部分があると思います」

◆「地域学習は地域がこれまで維持してきた歴史や文化、伝統を学ぶなど、”過去~現在” について学ぶけれど、ESDは今を見つめ直して未来にどうつなげていくかを考える ”現在~未来” の学習だと思いました」

◆「今日の授業では、”モノの豊かさから心の豊かさへ” という言葉が出ていたが、将来、これ以上のモノの豊かさはなかなかできないのだから、重要になってくるのが心の豊かさでは、と共感しました」

ESDの理念を人権とむすびつけた授業でしたが、その実践についての学生の発想は、身近な地域学習そのものから、各教科を通しての総合学習や ”総合的な学習の時間” での取り組みにまでイメージをふくらませていたようです。

いずれにせよ、現在 「国連・ESDの10年」 が取り組まれているように、今後とも、「持続可能性」 への取り組みは世界の潮流です。そこでは人権への配慮が基礎となります。今後、学校現場がどのような場で どのように実践していくか が問われます。

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