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2010年9月20日 (月)

「開発」に関する視点

開発教育システム思考研究会MLではメンバー間の意見交換が行われていますが、その際に 「忘れたくない視点」 として確認した観点を書いておきます。そもそも 「開発」 をどう捉えるかの定義に関する事柄です。

つい最近ですが、アイスランドで行われている ”システム思考の世界的研究者” による  「バラトン会議」 に参加中の枝廣淳子さんから、彼女の主催するMLにこんな報告が届きました。

アイスランドは、2008年に金融崩壊しましたが、当地の財務大臣の挨拶文です。金融システムが成長し拡大し、そして崩壊した反省を述べています。

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「・・・ このような大崩壊につながった成長には、もっともっと深い根があります。それは、私たちが当然と思っているようなことです。

1つは、常に民間セクターは公共セクターや政府より良くできる、という考えです。

2つ目は、見えざる手がすべてをうまく取りはからってくれるはずだ、という考え。

3番目は、だからシステムは、それ自体でまずいところがあれば是正できるので規制の必要はない、という考えです。

アイスランドの金融崩壊の事例から、これらはどれもが間違っていることが明らかになりました。現在も、アイルランドの金融崩壊がなぜどのように起こったのか、さまざまな調査が行われています。大事なことは、そこから学ぶことです。」

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これがアイルランドの 「開発」 の実態であったと研究会は捉えます。私たちが吟味すべき開発の事例です。ここでの開発は、新自由主義あるいは市場原理主義 への盲信とその行き過ぎだったように見えます。

けれども、だから 「開発=development 」 はダメだということでしょうか? そうは捉えません。まして、「開発」 を 新自由主義あるいは市場原理主義の推進 としてしまうのは短絡です。

開発教育は、現実の 「開発」 の問題は何か、ほんとうの 「開発」 とはどういうあり方なのか、どういう 「開発」 が 人間社会(世界) を幸せにするのかを考え続けてきました。

ここでは、「反開発」 の観点に共感はしても、人間社会に普遍的な 「変化」 の側面を静的に見なしたり、「開発」 を一面的に定義したりすることを回避しています。

私は、関係性を重視するシステム思考の哲学(世界観)が、ここで大きな意味をもつだろうとも考えています。

・・・ もう少し、補足しましょう。

「すべてのものは変化し、互いにつながっている」

シンプルな原理ですが、このことが研究会の前提になっています。あえて言えば、これは、「変化≒ development 」 のシステムの表現です。開発教育とシステム思考は相性が良いと考えることが可能です。

ゆえに、私たちは 「開発=development 」 そのものは否定しません。けれども、その 「開発」 がどうあるべきかは大問題です。"Development" は、本来、 「現状を破る」 が原義ですが、まさに 「現状を破る」 変化が必要なのです。 「開発のあり方」 も変化します ・・・ その行く末は?

一般には、それは 「資本主義の成熟」 などと表現されます。では、その 「資本主義の成熟」 とはどのような変化でしょうか? ・・・ それは 「貨幣経済」 一辺倒でないことを、私は予感しています。

いずれにせよ、変化しつながっている現実を、「システム論的な世界観」 で解明していくことが問われます。9/15 「メンバーのふりかえりから(その3)」 の記述を再掲するならば、次のようになるでしょう。

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システム思考で考えるということは、社会全体を循環構造で捉えようとし、それをループ図で ”見える化” しながら、どうしたら 「より良いあり方」 が可能かを考えることです。

この思考法には、近代社会のもつ 「つながりの欠如」 を根底から問い直す 「ものの見方・考え方」 を伴っています。ここでは、そうしたものの見方・考え方および 「学びのプロセス」 こそが重要なのですが、「いかに深めるか」 も問われています。

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前期3ヵ月の基本的な学びからひと夏を経て、メンバー各自の問題意識にも深化がうかがえます。研究課題も具体的になりつつあります。今後とも 「開発 のあり方」 の研究を継続します。

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