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2010年9月15日 (水)

メンバーの「ふりかえり」から (その3)

本研究会は、システム思考を取り入れた開発教育を模索しています。現時点で、その学びの構想をできるだけ実践的視点でまとめておくと、「世界(人間社会)の現実を知り、システム思考的に考え、レバレッジポイントを探る」 という新しい学びの形態です。これは開発教育における 「学びの転換」 とも言えるでしょう。(教師はその学びを促進するファシリテーター)

今日の開発教育には、もうひとつの 「学びの転換」 があると思います。それは、「自分の足元を重視し、地域を掘り下げ世界につなぐ」 形態の開発教育です。すでに、『開発教育で実践するESDカリキュラム』 (学文社、2010)が著されています。その名の通り、ESD (持続可能な開発のための教育) に通じるものです。ここでは、まず、地域づくりに連動して 「開発のあり方」 を学ぶことからの展開が問われています。

研究会の 「システム思考で考える開発教育」 は、こうした動向にいたずらに対峙するものではありません。まったく別物として動いていますが、決して対立するものではなく、むしろ、これまでのそしてこれからの開発教育と融合できるものと思えます。

システム思考で考えるということは、社会全体を循環構造で捉えようとし、それを 「ループ図」 で ”見える化” しながら、どうしたら 「より良いあり方」 が可能かを考えることです。

この思考法には、近代社会のもつ  「つながりの欠如」 を根底から問い直す 「ものの見方・考え方」 を伴っています。

ここでは、 そうした ものの見方・考え方 および 「学びのプロセス」 そのものが重要なのですが、「いかに深めるか」 も問われます。システム思考による構造的理解が深まるほど、そこで見出すレバレッジポイントが真に有効な解決策たり得るからです。

さて、開発教育における 「学びの転換」 の構想はその全体像が見えつつあるのですが、メンバー間の 「ふりかえり」 ではさまざまな現実的課題が提出されています。

実際問題として、「ループ図」 のレビューが足りないために、まだまだ 「ループ図」 作成自体に戸惑っています。作成した図からレバレッジポイントを発見するといった検討も不十分です。これからの 「システム原型」 の研究では、そのシステムパターンを開発教育のテーマに照らして、ていねいに吟味していくことが必須の課題です。

その意味で、後期の最初に、「開発」についてを絡めながら、「貧困の悪循環」について検討することは、意味があると考えます。

また、メンバーによる文献紹介もされています。そこでは特に、S.ラトゥーシュ著 『経済成長なき社会発展は可能か?』(作品社、2010) が注目されています。私も賛同。7月10日に発行されたばかりですが、タイムリーに研究会の検討に値するものが出たもので、運命すら感じます。

この書は、「新自由主義に代わるポスト・グローバル化時代の指針とは?」 がテーマですが、研究会が検討すべき要素を多く含んでいるように見えます。著者は”脱開発”を唱える人物ですから、研究会にとって共鳴できるところと相違点とを検討できることも有意義に思えます。

「開発とは?」 「開発教育とは?」 そして 「共感的理解とは?」 「構造的理解とは?」 さらに 「システム思考で考える開発教育とは?」 ・・・ 研究会の ”共有ビジョン” 構築の有力な参考文献になりそうです。

研究会では、経済成長を前提にする現実論と、経済成長の前提から問い直す懐疑論とが共存しています。そうした根本命題を検討する参考にもなるでしょう。

「構造的理解」に関しては、マクロな現実の欠陥 (何がたりないのか? 何が原因なのか?) を重要要素の相互因果(ループにならない場合もありうる) から突き詰めていく必要性、題材の論理性・客観性を保証すること、そのためにも、素材として具体的な問題に引きつけた学びの必要性、、などが さまざまに提起されています。

さらに、ものの見方・考え方について、本研究会はシステム思考を軸にしていますが、メンバーからは 「水平思考」 を重視する声も出ています。これは、これまでの直線的思考のパラダイムを転換するもので、発想の豊かさを担保するものとなるでしょう。

そして、そうした発想の豊かさにおいては、小学生に代表される ”子どもの感性” にこそ期待できるということも重要だと思います。

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