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2010年8月29日 (日)

子どものための日本語指導者養成講座(6)

講座は後半。いよいよ、概論から実践の段階になってきました。第6回は、「小学生への教科指導法」で、ワークショップを通しての学びでした。

小学生への教科指導のポイントは、(1)そもそも日本語がわからないのか、(2)教科の内容がわからないのか、(3)学習の仕方がわからないのか・・・を見極めることです。そうなると、対象となるその子のさまざまな事情を理解していなければなりません。それは、来日時期、母語、学習歴、社会・文化的背景などです。

今回の指導者は、中国帰国者定着促進センターの小川先生と小祝先生なのですが、センターでの実践例にそっての丁寧な解説が有益でした。

例えば、「教科学習より先に日本語をやった方がいいのではないか?」 や 「日本語がわからない子にどうやってやるのか?」 といった問題に応えながらの解説です。言うまでもなく、初期段階から教科の指導を組み込んで、一体として総合的に指導しています。

まず、日本語がほとんどわからなくてもできること(動作に関することや技能に関することなど)を中心にしながら、ワークシートを工夫したり、母語を適度に活用しています。

次に、「どんな仕掛けがあればのってくるか」 とか、「子どもの状況にどのように対応しているか」 などの工夫は、まさに日本の子どもたちへの”子ども主体の教育”の実践そのものです。日本語指導という特殊な分野であると同時に、教育の土台は共通であるということで、むしろ、こうした特殊分野にこそ、教育の本質がわかりやすく現れると痛感します。

第3に、語学学習では、「読み書きの積み重ねを!」 という地道な努力なしには先に進まないということです。何らかの機会に応じて、そのための訓練を積み重ねます。そのうえで、日本語と教科を統合しているわけです。

後半のワークショップは、小学生の算数の文章問題をどう支援するか、という実際的なワークでした。

プレタスクとしての例題 : 小学校2年生レベル 「さる山に、子ざるが 174ひき います。親ざるは、子ざるより 98ぴき 少ないです。親ざるは 何びきいますか。」

日常生活での日本語会話力、問題を解くために必要な計算力は身についていても、文章題を理解できないために解答できない状況をどう支援するかです。

ここでは、文章題の理解度を確認しながら、文章や数字をわかりやすく単純化する工夫が必要になるでしょう。

タスク1 : 小学校6年生レベル 「下の表は、先週6日間に、おじさんの家の牧場見学に来た人の数を表しています。1日に平均何人見学に来たことになりますか。(+表)」

タスク2 : 小学校4年生レベル 「3台のバスに、同じ人数ずつ乗って見学に行きます。1つの組の人数は、先生を入れてどの組も36人で、組は4つあります。1台のバスに、何人ずつ乗ればよいでしょうか。」

私自身、ずいぶん苦戦しましたが、印象に残るのは、用語(キーワード)の理解と、文章構造の理解がポイントになるということです。

タスク1では、「平均」 という用語の理解および図表の読み取りがポイントになるでしょうし、タスク2では、「同じ人数ずつ」 というキーワードおよび文章構造を分けて読み取ることがポイントとなるようです。

私の個人的関心である 「JSLカリキュラム」 は、すでにこなれた形にしてあるているように思えました。さすがです。このカリキュラムは 「思考するための言語」 の修得に不可欠と思いますが、現場では、何らか工夫して教材化する必要があるようです。

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