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2010年8月14日 (土)

子どものための日本語指導者養成講座(3)

これまで2回の導入を経て、いよいよ本論に入りました。これから 理論編~実技編と続きますが、今回は理論編(その1)のイメージ。早稲田大学の池上先生による 「子どもの社会・文化的背景」 と 「日本にやってきた子どもの現状と課題」 の2講座を受講しました。

第1講義 「子どもの社会・文化的背景」では、まず、修得する日本語が 「外国語としての日本語」 なのか 「第二言語としての日本語」 なのかの考察から始まりました。

もちろん、後者です。そこから、対象は、 (A) 日本で生まれ(幼少時に来日し)、多言語環境で生育する子どもたちか、(B) 第一言語をほぼ獲得してから来日した子どもたちか に分かれます。前者は 母語自体があいまいで、日常会話は身につけてもきちんと話せない、なぜか読み書きにつながらないといったリスクがありうるケースです。

問題は、子どもたちの社会・文化的背景をどう捉えるか、そして、「異文化適応」をどう考えるかにあると、池上先生は話を進めます。

前回も感じたことですが、日本語指導だけにとどまらぬ困難がここにはあります。文化をステレオタイプに見ることはできませんが、それはどうしてなのかという疑問と、相手を知ることによって理解を深めることが不可欠です。「異文化適応」とは、自文化の規範と相手文化の規範のすり合わせですが、「違いを知って、なぜかを理解する」こと、すなわち、どちらか一方ではない「相互理解」 が前提ということです。

第2講義 「日本にやってきた子どもの現状と課題」 では、まず、日本語を学ぶ子どもたちの概観が示されました。

国内では、いわゆる 「在日」 の人たちである 「オールドカマー」 から始まり、中南米諸国からの日系人である 「ニューカマー」 までの流れがあります。その数は、文科省 「日本語指導が必要な外国人児童生徒受け入れの概況」 の資料によれば、小・中・高 6,212校に 28,575人(H20) で着実に増えています。これらは 「人の移動」 によるものですが、近年では、日本国内で 「人の移動」 が起こっていることが強調されました。

ここでの焦点は、日本語教育の向かう方向性の理解であるように思いました。キーワードは、「学習言語」 「教科指導」 「母語指導・母語保持」 です。しかし、これらの総合的な対応は、長く、実践上の困難を抱えたままであると言います。

特に、「子どもたちは第一言語での発達をしながら、第二のことばをも覚えていく」 という捉え方が重要なのですが、質疑応答でも出たように、「第一言語の発達が止まってしまっている」 現実も問題です。

いわゆる 「減産的バイリンガル」 のリスクです。8歳と15歳ではどちらが第二言語修得に有利かの答えは一概には決められません。8歳なら、発音も含めてたちまち日常会話を身につけるでしょうが、15歳なら、一定の知的形成を基礎にして分析的に日本語を修得していくことができるからです。

最後のグループ討議で、私の属した班は 「日常会話から学習言語への発展過程で、思考を深める言葉の修得の重要性」 を話し合いました。更に、文科省作成の「JSLカリキュラム」 の可能性を考えました。そうした方法論は、次回以降の課題となるでしょう。。

いずれにせよ、池上先生の講義は、最後に、「将来の社会参加を考慮に入れた日本語」 =「思考に用いる言語」の必要性への見通しを示して終了しました。

私はこの2講座を通して、「適応教育」とは? ~ 母語と日本語の関連 について考え続けていました。いろいろな事柄を考察できる貴重な機会であったと思います。(感謝)

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