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2010年7月16日 (金)

開発教育システム思考研究会の今後に向けて

7月10日の「拡大研究会」には大きな学びがありました。現在はシステム思考そのものを学んでいる段階ですが、開発教育とシステム思考の融合(「システム思考で学ぶ開発教育」)に向けて一歩前進したように思います。ただし、それは方法論の側面で、これまでの「ワークショップ型の学び」の発展的プロセスとしてです。

ある複雑な事象に対して、その事象を分解し分析して捉えようとする「要素還元主義」の線的なものの見方・考え方から、複雑な事象をそのまま全体として捉えようとする「システム思考」の循環的なものの見方・考え方へ。。自然システムと同様に社会システムも、あらゆる要素が相互につながった、循環性ある全体と捉えることができます。(開発教育ではこれを「相互依存」の概念で捉えてきました)

これまでの開発教育には、こうしたシステムとして捉える観点が不足していたと思われます。開発教育は全体を構造的に捉えることが重要であるにもかかわらず、これまでそれは課題のままであるということです。これからの開発教育には、これまでの学びの上にシステム思考による発展的考察が有効であるように思われます。(教材 「貧困の悪循環」 は、「システム思考で学ぶ開発教育」 のモデルであり、今日的に捉え直すことで、新しい開発教育の原点となりえるでしょう)

もちろん、システム思考に過大な期待をするべきでもありません。ここでの有効性は、ものの見方・考え方そのものであり、また、あくまで 「学びのプロセス」 としての有効性です。これまでの参加型学習が、絶対的正解にたどりつくとは限らないと同様に、システム思考の結果も絶対的なものではありません。それを 「いかに深めるか」 は、learning faciritator としての教師の仕事です。(研究会は、それに関する内容論を今後の課題としています)

「システム思考で学ぶ開発教育」のメリットは、「知る~考える」段階で、複雑な事象に対して全体として循環的に捉えるものの見方・考え方で探究できることですが、そればかりでなく、「知る~考える」のちに「行動する」段階で、どのような行動が、全体の変化を及ぼすのに有効かを探求する視点を得るところにもあります。これまでの開発教育は安易に、「では自分たちにできることは何だろう?」 と問いかけてきたのですが、その行動自体は深く吟味されてきたとは言えないのではないでしょうか?(それなしでは、むしろ逆効果ですらあるとシステム思考は考えます)

しかし、「システム思考で学ぶ開発教育」は、しっかりとした「従来のロジカルな学び」を前提として成立するものです。それが不十分なところに、安易にシステム思考を導入することは難しいと思われます。研究会でも、体験的な学びのなかで、幾つかの段階を踏むことの重要性を気づくに至っています。

段階1 従来のグループワークで、基本通りに、要素を出し分類して、各発達段階なりの「相互関係図」がしっかり描けること。(システム思考の「因果関係ループ図」はその応用である)

段階2 分類した各モジュールのなかでのル~プ図を描き、それらの結節点となる要素を工夫すること。(発達段階によっては、これらの小規模な循環性を捉えるだけでも意味がある)

段階3 グループワークとして得た全体像を、多様な視点で練り直すなどして「深める」こと。(学びのプロセス自体に意味があるとはいえ、「深める」プロセスも不可欠である)

段階4 全体に最も影響を与えるであろう最重要課題(レバレッジ・ポイント)を探し出す作業を通して、何をなすことが必要かを探求すること。(ほんとうの行動を探求することは改めてシステム自体を吟味することにもなる)

こうした段階を踏む学びが、現時点で発信できる 「システム思考の教育における可能性」 です。

システム思考では、事象のパターンを 「システム原型」 として整理しています。これらに精通していることが、learning facilitator の方法論上の素養でもあります。今後の研究会の当面の発展的課題です。 

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