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2010年6月28日 (月)

第3回 開発教育システム思考研究会(1)

第3回研究会は、ゲスト講師に、研究会テキスト 『問題発見力養成講座』 の著者・高橋浩一先生をお招きし、指導・助言を得ました。基本的な解説と質疑応答のあと実習を体験。後半は、ゼミ形式でテキスト第3章を読み込みましたが、その間の約4時間、先生は最後まで残って研究会を支援してくださいました。感謝です。以下、その概要をまとめます。

まず、高橋先生も交えて、研究会の方針について確認。第2回研究会の「まとめ」で整理した3つの方針を確認しました。

すなわち、(1)研究会は、「学習する組織」であること。つまり、ビジョンを共有し、参加者の固定観念を克服し、共同思考を深め、個々の向上をめざすこと。その土台に、システム思考があること。(2)研究会は、「開発教育のビジョン」を共有すること。(3)研究会は、「開発教育とシステム思考の融合」を具体化すること。

このあと、高橋先生によるシステム思考のポイント解説。

「システム」とは? 「システム思考」とは? という基本概念の説明から始めていただきました。「システム」において、相互に作用しあう要素間には「フィードバック的性質」があり、単純な「原因→結果」の関係だけでなく、結果は幾つかの要素を経て原因に戻るというとらえ方(「真理は循環しサイクルを為す」というものの見方・考え方)が重要です。こうして、要素の関係性から全体をとらえるのが「システム思考」の真髄であり、さらに、「システム思考」は時間的経過にしたがってのダイナミックな変化、全体としての機能(何らかの目的)をとらえるものと整理できます。

システム思考の今日的展開としては、「ハード・システム思考」から「ソフト・システム思考」 への展開が現れているとのこと。要素還元のロジカル・シンキングの次に全体システムをとらえるシステム思考がありますが、もうひとつ次の 「ポスト・システム思考」 です。これは複雑系の社会システムをとらえるもので、キーワードとして 「アコモデーション」 が出されました。つまり、単純に結論を導き出すのでなく、状況における人間同士の関係性や賛否が両立するコミュニケーションが重要で、ここには何らかの 「共生」 の要素が含まれているとのこと。

ポイント解説のあとは、質疑応答。以前、研究会で話題となった4つの疑問が関係します。4つの疑問とは、①内部変数と外部変数をどう把握するか? ②構造レベルの変数の妥当性をどう考えるか? ③因果関係ループを複数作成する場合にどう整理するか? ④因果関係を描く変数をどう選択するのか? ということです。

今回は、内部変数と外部変数の設定が最も問題になりました。この境界は流動的です。検討チームによってテーマのとらえ方が違えば、内部と外部の境界も異なることになります。システム思考の考え方で図解し検討(コミュニケーション)すること、構造の存在に気づくこと、そこでの最重要課題(レバレッジ・ポイント)を探求し行動につなぐことなど、検討チームでの「納得解」の形成自体に意味があるのがシステム思考です。

けれども、教育においては、そこでの「掘り下げ」をどう深めるかが気になります。結局、これについては、システム思考の学びを深めるためには、実習をくり返してのスキルアップ、原理的に考えて構造を見抜く眼の育成、多様な視点を組み入れての再検討などが重要ということになりました。

続いて、実習。テーマは「待機児童問題」。日経新聞の記事をもとに、キーワードを抜き出し、ループを構想するワークショップを行いました。

やってみての実感ですが、どうしてもキーワードが多く出ます。私たちにとって慣れているのはMECEですから、模造紙上にポストイットが大量に出ます。これを、分類整理することが第一歩ですが、ここで内部変数の軸をどのように定め、どのように関連変数を捨象するかが難しい。内部変数を整理しきれずに混乱しました。とくに、構造レベルの根本原因 である 「景気悪化」「共働き」「女性の社会進出」「少子化」 などの要素を循環させようとしてつまずきました。内部要因と外部要因の区分けができてないとうまくいきません。最後に模範解答を提示していただいたのですが、実習で循環できなかった「構造レベル」の変数は内部変数としては捨象されていました。模範のループ図と私たちのループ図を比べて検討することが効果的な学習方法と思いますが、要するに、要素還元段階で軸を設定するのに、変数の選択に問題があったことに気づきます。

( つ づ く )

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