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2010年6月29日 (火)

第3回 開発教育システム思考研究会(2)

研究会後半は、ゼミ形式でテキスト第3章を読み込みました。「因果関係ループを描く」がテーマで、今回の実習のふりかえりを兼ねています。後半の概要は、以下の通りでした。

この章は、因果関係ループを作る5つのステップを説明しています。(Step1:テーマを決める、Step2:ブレーン・ストーミングで変数を出す、Step3:ループを構想する、Step4:ループを描く、Step5:レバレッジ・ポイントを発見する)

Step1:テーマ決めは、まず、対象範囲を絞り込み、具体化することが重要。サブタイトルをつけると一層具体的になる。次に、対象テーマの時間軸を設定(現状分析なのか、未来展望なのか等)する。

今回の「待機児童問題」をなぜ選んだのかを伺ったところ、「身近な社会問題」 であるから・・・ という返答でした。つまり、何でもテーマにできるということです。ただし、日ごろ開発教育で論じているテーマは、行動につながることを意識していないことが多いかも知れません。「対象範囲の具体化」 について話し合うなかでは、①身近な問題であること、②切実に感じられ行動につながる課題であること、③知的マインドを刺激するものであることの3つが重要ポイントとして挙げられました。

Step2:ブレーン・ストーミングにより変数を出すに際しては、内部環境と外部環境を区分けすることが重要。内部環境はループを形成する内部変数として描きます。→ 前半の実習ではここが難しかったわけです。保育園を対象とする内部環境のループでは 「景気悪化」 などは外部環境です。捨象すべきでした。このように、外部環境を構成するPEST(政治環境・経済環境・社会環境・技術環境)のフレームワークを内部環境(変数)と混同していたことが大きな混乱要因だったように思われます。

さらに、留意すべきは、討議が「課題解決の方向性が何となく見えそうな方向であること(=目的とゴールの意識化)」「内部環境での構造的な問題を探ること(=構造レベルの見える化)」です。ここでも、外部の経済環境と内部の構造レベルを混同しがちに思えます。世の中の現象には、目に見える 「事象レベル」「パターンレベル」 とその奥に潜む 「構造レベル」 があります。「構造レベル」とは 「事象レベル」が繰り返される(=「パターンレベル」)ことには何らかの構造的原因が潜んでいることを反映します。この目には見えない「構造の見える化」ということです。

Step3:ループを構想し、Step4:ループを描くのがシステム思考の図解思考。出された変数を分類してループに表現する。キーワードをポストイットに書き出し、それを模造紙上で分類する図解作業は KJ法などによるファシリテーション・グラフィックですが、ここからループ状に 「循環サイクル」 する分析こそがシステム思考の特徴です。

ここでは、①時系列の流れ、あるいは、②論理的つながりで、ループを構想していきます。そして多くの場合、因果関係ループ図は③モジュール(=グループ)化して、複数のループを組み合わせることになります。

Step5:レバレッジ・ポイントは因果関係ループを描くことで見つけ出そうとする最重要課題。これは「構造レベル」に潜んでいることが多いが、これを発見できれば、それへの対応(=行動)がもっとも効果的な課題解決策になること。

そのための現状認識の手法がSWOT分析。内部環境と外部環境ごとに 「できていること」「できていないこと」を分析し、将来展望のもとで、その実現に向けての最重要課題を探求することになるのですが、これについては、第5章で研究します。

最後に、次回の ”拡大研究会” の打ち合わせ。まだまだシステム思考の方法と利点を理解するだけでやっとの状態ですが、「開発教育とシステム思考の融合」 の可能性と意義は予感しています。次回は、高橋先生の講演と実習ワークショップを軸に、できるだけ多くの「ファシリ講座」受講生・修了生とテーマを共有したいという願いを確認しました。

たとえば、次のようなことが開発教育の学びに関連するでしょう。(1)探求のコミュニケーション・ツールであること、(2)事象レベル等でなく、「構造レベル」で思考すること、(3)「システム」つまり「循環サイクル」の概念で思考すること、(4)「時間的経過」を加味して分析すること、(5)最重要課題(レバレッジ・ポイント)を探求し、行動につなぐこと。これらは、開発教育の内容にも方法にもかかわります。。

・・・

ここまでが、第3回研究会の概要です。時間的には 14:00開始から延びに延びて、終わったのは18:00でした。あっという間の4時間でしたが、この間、アドバンザーとして、最後まで私たちの研究を支援してくださった高橋先生には感謝の言葉もないほどです。

ほんとうにほんとうに、ありがとうございました。

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