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2010年6月 2日 (水)

5月の議論(1)~開発教育は座学か?

5月22日の第1回研究会ののち、研究会MLではいろいろな反応が出始めています。次回(6月5日)までに、参加者各自がテキスト第2章のレジュメを作ってきて共有することになっているので、その過程でもさまざまな課題が出てくるでしょう。ここでは、5月の2つの議論をまとめておきます。

ひとつは開発教育自体に関する問題提起です。

曰く。現状では、開発教育を通して世界を取り巻く問題について頭や心ではわかっても、普段の生活に特段の変化を起こすことができない(しない)状況がある。ワークショップでも、そこで「気づき」を与えても、「具体的な行動」という変化のプロセスは本人の自主性に委ねるだけで、変化へのプロセスを与えずに終わってしまう。これは開発教育の弱点ではないか。開発教育は座学にとどまるのだろうか?

頭で考え、心でわかっても行動できない・・・。変化へのプロセスこそが重要・・・。この指摘は研究会にとって非常に重要な問題意識と思えます。

今日の開発教育は、学びの「リアリティ」の欠如と「参加」の欠如が課題とされています。それゆえに、地域の課題に取り組むことを重視するようになってきています。このことは、今日のグローバリゼーションのもとでの地域と世界の諸課題の類似性も後ろ盾となっています。例えば、見えてきた日本の貧困・格差は世界の貧困・格差と決して無縁ではありません。そこから、その同質性と相違点の理解を進めることも重要です。

教育現場に関わる私自身も、自分の住む足元の地域では何をするか(できるか)がまず問われるのです。地域での開発教育ワークショップを実施するだけでなく、在住外国人との共生という地道な地域づくりからどう展開するかを考え続けています。今回刊行する 『開発教育で実践するESDカリキュラム~地域を掘り下げ、世界とつながる学びのデザイン』 も、その趣旨は 「地域での具体的行動を通した学び」 をいかに築くかということです。開発教育は、本来、単なる寄付行為やボランティア活動だけでない 「変化のプロセス」 に参加できる学びです。

研究会が探求しようとしているシステム思考は、構造的理解を重視していますが、それは単に頭でっかちになるための研究ではありません。「レバレッジ・ポイント」の概念が象徴的であるように、どうしたら効果的な「変化へのプロセス」を構想できるか・・・まずはこの理解を深めるためのものと考えています。感性での「気づき」だけでは限界があることへの対応がここにはあります。

(つづく)

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