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2010年5月14日 (金)

『開発教育で実践するESDカリキュラム』に向けて

この夏に、学文社からの発刊を予定しているのが 『開発教育で実践するESDカリキュラム-地域を掘り下げ、世界につながる学びのデザイン』 です。

開発教育協議会(DEAR)内 「開発教育カリキュラム研究会」 での2006年からの 「ESD総合カリキュラム研究」 の成果を、開発教育で実践するESD として総括するものです。

昨日13日は、そのための最終打ち合わせでしたが、原点に帰るというか、さまざまな原理的確認がありました。

ESDは "Education for Sustainable Development" で一般に「持続可能な開発のための教育」と訳されていますが、そもそもこの訳出に異論があります。ESDの定義自体も、一応1987年の 「環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)」 報告での定義が世界の公式見解とされているのですが、この解釈にも諸説あります。

このようにESDはやっかいな問題を抱えているのですが、こうしたなかで、今回私たちは、開発教育はESDをどう捉えるかを明らかにし、開発教育で実践する場合にどういう学びのデザインを描けるかを試みています。

ひとつだけ書いておくと、そもそも ”持続可能な開発” というとき、広義に解釈して、持続的な成長社会をイメージしてしまう現実があります。逆に、狭義に、環境問題の解決に限定して語られることも極めて多い。ESDを少し検討すれば、これらは共に妥当でないことがわかるのですが、現実は現実です。

このことは、ブルントラント委員会の 「(持続可能な開発とは)将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、現在の世代のニーズを満たすような開発」という定義のあいまいさも一因でしょう。実は、ブルントラント委員会は、その報告書の大部分を割いて、そのために解決すべき人類の諸課題(人口問題や食糧問題など)を例示しているのですが、そうした課題解決への取り組みを重視する「持続可能な開発」概念はむしろマイナーとなってしまっているように思えます。開発教育にとってはこれこそが問題なのです。

こうしたイロハのイの問題を乗り越えて、開発教育で実践する課題解決学習としてのESDをいかにデザインするかというのが出版の趣旨です。昨日の最終打ち合わせで確認したことは、これまでの地域学習と一味違う地域学習とは何かが具体的な主題だね・・・ということ。

副題にあるように、「地域を掘り下げ、世界につながる学び」 をどう実践するのか。その際、なぜ地域なのか・・・地域を掘り下げるとはどういうことか・・・人とどうつながるのか・・・歴史とどうつながるのか・・・そして、世界とどうつながり、参加を実現するのか・・・等々。

そして、開発教育にとっては、地域を調査するとき、「開発」とはどういうことか?の根源的な問いが常に不可欠です。それは、たとえ地域経済の活性化がテーマであっても、これまでの路線での生き残り戦略の視点だけで考えるのでなく、私たちにとって大切なものを模索するための違った視点から見えてくるものがある、という学びのあり方です。

さて、5月中に原稿が揃って、夏には刊行予定です。最後に、現段階での目次を書いておきます。

はじめに ESD・開発教育のカリキュラム

第1部 [理論編] 開発教育のカリキュラム・デザインとは 第1章 開発教育とは? ESDとは? 第2章 開発教育カリキュラムの歴史とESD 第3章 地域を掘り下げ、世界につながる学びの構想

第2部 [実践編] 開発教育カリキュラムづくりの実際 第4章 地域学習を深める方法 第5章 地域素材を生かした学び 第6章 地域を掘り下げる学びのデザイン

第3部 [事例編] さまざまな事例に学ぶ 第7章 アサザ基金 第8章 トウモロコシからつながる世界 第9章 武蔵野改造計画 第10章 仙台の開発 第11章 多文化共生 第12章 反貧困学習

おわりに

資料編 開発教育教材の紹介

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