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2010年5月21日 (金)

研究会の目的とシステム思考の基本フレーム

いよいよ開発教育システム思考研究会を明日に控えて、これまでML上で検討されてきた研究会の目的と、システム思考の基本フレームについて整理しておきます。

<研究会の目的>

課題提起A: 今回の研究会は、「システム思考」をもって何をしようとしているのでしょうか? 開発教育そのものというか、開発教育のあり方を再考しようとしているのか、それとも開発教育の手法を改善しようとしているのか。つまり、「開発教育とは?」を考えようとしているのか、「よりよい開発教育手法」を開拓しようとしているのか。

課題Aからの展開: 現状は、問題が単純でなく難しいことを示すだけで、そこから政治的経済的社会的しくみまでも探求する学びはなかなかできません。つまり、現象面を取り上げることはできても、構造的な問題にはなかなか踏み込めないという現状認識が前提。したがって、研究は、システム思考のものの見方考え方で構造的認識にどこまで迫れるかが第一の課題です。

課題提起B: 今回の研究会の主テーマは、開発教育が抱えている問題をシステム思考を用いて分析し解決すること、という理解でよいでしょうか? それとも、この問題解決にシステム思考が貢献する可能性を素材に取り入れること、言いかえれば、システム思考を教材に取り入れることによって、問題の解決を図ろうとするものでしょうか?

 順序としては、まずは前者の研究により、レバレッジポイントを探り、そこでもし、教育の手法に問題があるということであれば、次に後者のテーマに取り組むという流れになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか? いずれにしても、まずはメンバーで開発教育が抱える問題を共有することから始めるべきではないかと感じます。また、開発学などの理解をより深める必要があると思います。

課題Bからの展開: 同感。現象面の構造的理解とはいかなるものか、それをシステム思考(つまり全体を考える思考)でどう捉えることができるかの検討が最優先です。研究に向けての共通理解は不可欠。この研究会の参加者はアドバンストコース修了者なので、そこで「国際開発学」の学びを経験していることも前提です。

<システム思考の基本フレーム>

1.「システム」とは、「相互に作用しあう要素(部分)の集まりであって、全体としての機能をもつもの」

システムは「拡張フィードバック・ループ」と「バランス・フィードバック」、そしてループの中に生まれる「時間的遅れ」から成り立つ。

2.システムの特徴とは、①要素が互いに影響しあっていること、②結果が原因に戻るというフィードバック的性質があること、③時間の経過にともなって、おのおのの要素の水準が変化すること、④システムはひとつの目的に向かって動くこと。

システムは、時間の経過により、ダイナミックな動きが現れ、フィードバック的性質ゆえに定められた目的に向かって動く性質がある。

3.システムの3層構造とは、目に見える「出来事(現象や事象)」レベル+それらの動き方を時間経過で追った「パターン」レベル+それらのパターンの因果ループ的関わり合いを明らかにする「構造」レベル。

さらに、4層目に「メンタル・モデル」が潜む。メンタル・モデルとは、私たちが暗黙のうちに心の中で持ってしまっている仮説や目的、そしてモノの見方考え方。

4.「システム思考」とは、問題の全体構造や要素の関係性に着目する思考方法。

個々の要素だけでなく、その連鎖や全体への影響について考え、時間の経過による事態の変化を検討し、意思決定の際に、その中長期的影響や副作用まで含めて考察するもの。

5.システム思考の基本ツールは、(1)因果関係ループ図、(2)時系列変化グラフ。

因果関係ループ図では、ブレストによる要素抽出~グルーピング作業~ループ図を描く~レバレッジポイントの発見という流れが基本。内部環境と外部環境の変化を考慮する。

時系列変化グラフでは、時間の変化によって個々の事象がどう変化しているかのパターンをつかむ。それらのパターンの間に因果関係を見つけ出せるようになれば、システムの構造が分かりやすくなる。

6.レバレッジ・ポイントは、因果関係ループの作成を通じて発見した最重要課題。

レバレッジ・ポイントの候補は複数出ることが多いが、原則としては1つ。

7.システム原型とは、システムの動きにおける特定の典型的パターン。

「応急措置の失敗」「問題の転嫁」「成功が成功を生む」「エスカレーション」「成功の限界」など。

参考文献:『問題発見力養成講座』(高橋浩一、日本実業出版社、2009)、『システム・シンキング入門』(西村行功、日経文庫、2004)

 

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