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2010年5月25日 (火)

「開発教育のカリキュラムとESD」 原稿作成の裏話

夏に刊行予定の『開発教育で実践するESDカリキュラム-地域を掘り下げ、世界につながる学びのデザイン』ですが、私の担当個所は第2章「開発教育のカリキュラムとESD」です。すでに既定の15ページで脱稿しているのですが、先日の編集会議で、全体のバランス上、もう3ページほど加筆して良いことになりました。

元々21ページ書いたものを、泣く泣く3分の2に削った経緯があるので、ページ増を喜んだのですが、いざ削った部分の半分だけ復活するとなると案外迷います。さらに、最近このブログに書いているような表現を新たに書き加えたい衝動もあります。

ここでは、原稿の構成を確認し、原稿の論点を整理してみます。

<「開発教育のカリキュラムとESD」の構成>

1.開発教育カリキュラムの歴史に学ぶ  : (1)国際社会の動向と開発教育、(2)1980年代の成果に学ぶ~開発教育カリキュラムの誕生、(3)1990年代の成果に学ぶ~開発概念の捉え直し、(4)2000年代の成果に学ぶ~総合学習としてのカリキュラム

2.持続可能性に対応するカリキュラムの課題と新学習指導要領 : (1)開発教育カリキュラムの今日的課題、(2)新学習指導要領、(3)ESDに関する留意事項

3.地域を掘り下げ、世界につながるカリキュラムに向けて : (1)カリキュラムデザイン案(ねらい・目標・内容)、(2)地域と世界がつながる展開案(方法・評価・単元構成)

4.まとめ

<主要な論点>

1.これまで、地球的諸課題に向き合ってきた開発教育のカリキュラムの系譜の吟味

→開発教育は、課題解決と国際協力の学びを軸にすえて、貧困・格差や環境破壊等の諸課題に向き合い、学習者主体の参加型の学びを提起してきた。したがって、開発教育は「公正で共に生きることのできる社会」とはいかなるものか、そのための「望ましい開発」はいかに可能かを探求しようとする学びである。

2.持続可能性が問われる時代に対応する新しい展開の模索

→ESD(持続可能な開発のための教育)は、持続可能な社会づくりのための教育体系である。環境教育の範疇で狭く捉えることなく、ESDの総合性を正しく受け止めなければならない。持続可能な開発には、その実現のための諸課題の解決が問われる。それは、「公正で共に生きることのできる循環型の社会(地域と世界)」がいかに可能かを探求しようとする学びとなる。

3.地域を通して、開発の現実と世界の現実を学ぶ新しいアプローチ

→これまでの開発教育では、世界の現実を学ぶことから私たちのあり方を問うアプローチと、私たちの身の周りから世界とのつながりに気づくアプローチとが併存していた。今日はこうしたレベルを含みつつ、自分たち自身の地域の「開発」から何を学ぶかが問われている。そこでは、リアルな「開発」の現実に「参加」していく学びがあると同時に、グローバリゼーションの時代だからこそ、世界の現実に類似する課題を見出すことができる。これこそが、欧米の受け売りでない「日本の開発教育」である。また、市民教育の範疇に照らせば、「地球市民性(Global Citizenship)」を育む教育である。

4.開発教育の学びの根源を再確認する

→本来、開発教育は、”人間にとってほんとうに大切なものは何か”に思いをめぐらす学びを伴っている。それは、近代化や物質的豊かさだけでない価値を模索する価値教育の側面である。

~~

さて、現実の地域学習の実態を踏まえると、そこでの「地域」「課題」「参加」をキーワードにした地域学習と、「地域の国際化」「グローバルな課題の発見」「世界とつながる生き方」をキーワードにした地域学習は段階を分けることも必要なように見えます。

いずれにせよ、今日は「持続可能性」の観点で、時代的転換期であることは確かでしょう。それは、地球環境、資源・エネルギーなどに限らず、国際金融をはじめとした国際政治・経済の現状からも明らかなように見えます。

今回は、現在研究中の「開発教育+ファシリテーション+システム思考」の3軸での社会認識(構造的理解)と社会変化への取り組みを書き込むことはできません。けれども、「開発教育の捉えるESD」を実践的に整理し、その教育実践に寄与できるとすれば、大きな意義があると信じています。

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